淡路島のことでもうひとつ。
忘れてはならないのが、淡路島は芸能が盛んなこと。
古くは、淡路人形がある。
これは、文楽に代表される、人形浄瑠璃の原型とされている。
原型だけに粗削りで、二度ほど観る機会があったのだが、人形がかなり大きいのに驚く。小学生くらいの子供の大きさだろうか。
そして、狸―。
狸がなんで芸能と関係あるかというと、淡路島に於いては、狸は芸能の神様なのである。
淡路島は狸にまつわる伝説がいくつもあるところで(この点、四国の文化圏といえる)、“淡路八狸”と呼ばれる、高名な狸たちがいる。
この淡路八狸の筆頭格といえるのが、芝右衛門という名の狸である。
この芝右衛門、たいへん芝居好きの狸で、淡路島内の芝居を観に出かけたり、自分で興行をうったりもしていた。
ある時などは、侍姿に化け、海を渡って大阪・道頓堀にある中座まで芝居を観に行った。いわゆる遠征である(笑)
そこで芝右衛門は、当時人気絶頂だった片岡仁左衛門(初代)の大ファンになってしまい、以降ちょくちょく通うようになるが、その後油断して、狸であることがバレて、よってたかって殺されてしまった。
(鉄砲で撃たれた、という説もある)
ところがそれ以降、中座は客の入りがめっきり落ち、仁左衛門の人気もさっぱりとなった。
のちに、狸の正体が淡路で有名な芝右衛門だと知って、芝居の神様として中座で祀ったところ、仁左衛門の人気が復活、中座は連日大入り満員になったという…。
この話には続きがあって、芝右衛門には恋女房のお増との間にたくさんの子供があったが、そのうちの長男の柴助が、父を探しに旅に出たり、娘のお松がたいへん美人(美狸?)で…、という話が続く。
なおこの三人…、いや三匹とも淡路八狸に入っており、お増は商売繁盛の、柴助は健康の、お松は美の神様ということになっている。
現在、芝右衛門の出身地である三熊山(旧・洲本城)には祠があり、これは藤山寛美氏と片岡仁左衛門氏(先代)の寄進によるものである。
なお、大阪のセラヴィスクエア中座にある芝右衛門のご神体と一緒に写真を撮ると、人気者になれるらしい。
『淡路・洲本八狸物語』
http://www.sumoto-cci.org/yadanuki/story/index.html
『中座全焼は芝右衛門狸の祟り?』
http://www.relnet.co.jp/relnet/brief/r12-140.htm
淡路島。
餃子。
野球。
芸能。
そんなことをいろいろと考えながら、『ヒットメーカー・阿久悠物語』を観てしまった。