南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

舞台『LADY OUT LAW』(2018/9/14-24)雑記

タイトル:「LADY OUT LAW!」
【出演】矢島舞美 / 味方良介、鈴木勝吾、小野健斗、松井勇歩、増子敦貴、日比美思 / 榛葉恵太、池田大輔、井上怜愛 / 神尾 佑
【作】池田純矢
【演出】岡村俊一
【日時】2018年9月14日(金)~9月24日(月・祝) ・全14ステージ
【会場】品川プリンスホテル クラブeX

http://lady-out-law.com/

 
 
 

配役

役名 設定 演者 備考
マリア 女テロリスト 矢島舞美 ex.℃-ute
サン 保安官 味方良介  
ボロ スラム街出身 鈴木勝吾  
クズ スラム街出身 松井勇歩 劇団Patch
チリ スラム街出身 増子敦貴 ex.α-X's
大司教 ユートピア総裁 神尾佑 ex.北区つかこうへい劇団
道長 大司教の側近 小野健斗  
ルナ シスター。サンの妹 日比美思 ex.Dream5
コボリ ドクター 久保田創 ex.北区つかこうへい劇団
大司教の手下   榛葉恵太  
大司教の手下   池田大輔 北区ACTSTAGE
大司教の手下   井上怜愛 北区AKTSTAGE
宇宙セールスマン   (日替わりゲスト)  

 
 
 

宇宙セールスマン役(日替わりゲスト)

9月14日 19:00 池田純矢 本作の脚本家
9月15日 13:00 井阪郁己  
17:00 北原里英 ex.AKB48 / SKE48 / NGT48
9月16日 13:00 和合真一  
9月17日 13:00 中島早貴 ex.℃-ute
9月19日 14:00 多和田秀弥  
19:00 高柳明音 SKE48 / NMB48
9月20日 19:00 和田彩花 アンジュルム
9月21日 19:00 上國料萌衣 アンジュルム
9月22日 13:00 浜浦彩乃 こぶしファクトリー
17:00 田中涼  
9月23日 13:00 久保田秀敏  
17:00 細貝圭 ex.ココア男。
9月24日 13:00 (シークレット)

※9月24日は矢島舞美&中島早貴
 
 
 

あらすじ


第三次世界大戦によって地球は荒れ果て、生き残った人類は宇宙に活路を見出し、巨大な宇宙ステーションを建設して移住した。
そんな宇宙ステーションで、孤児の兄妹が大司教に拾われる。孤児たちは洗礼を受けると里親に引き取られていくが、実は内臓を戦争をしているステーションに売られ、代わりに機械が埋め込まれて愛玩アンドロイドとして売られていた。孤児の妹・マリア(矢島舞美)も手術されて機械の体になってしまうが、大司教を倒して逃げる。


それから10年後――。
大司教神尾佑)が総裁として治めるステーション・ユートピアは、働かなくても食べ物が与えられる理想郷であった。そこへ現れた女テロリストが大司教を襲うが、保安官のサン(味方良介)によって防がれる。彼女はマリアだった。
実は大司教は人々を捕らえてはその内臓を売り、得た金銭で人々に食べ物を与えていた。マリアはその大司教のやり方をなんとかしようとしていた。
一方、サンの妹・ルナ(日比美思)は敬虔な大司教の信者であったが、改造されて自分の意思とは別に大司教の思うがままに動く存在となっていた。
 
 

感想


360度のステージ。元℃-uteと元Dream5の共演。
脚本の池田純矢氏は『人形佐七捕物帳』(要潤版)の左七の子分・豆六役の人だな。
…という程度で、予備知識なしで観劇した。


筆者が観た回はVTR撮影があったためか(だと思いたい)、前説で観客に「こうやったら拍手してください」などと、晩年の先代・林家三平のようなリクエスト(ウチの母親が「芸人として最低」と言っていた)をしていて、こりゃ作り手側に自信がないのかな?とさえ思えた不安なスタート。
舞台の場合、一体感って無理に出そうとしてもなぁ。過去にハロ系の舞台で自然と一体感の出た舞台を何本か観ているので…。
ストーリーはいわゆる“頽廃した未来”モノ。
過去の観劇経験から、よく出来た設定ならいいが、大概は安易な設定のものが多いので、これまた不安なスタート。
すると、「第三次世界大戦後…」とか「地球に住めなくなったので人類は宇宙ステーションに…」とか「永遠の命」とか「機械の内蔵」とか「貧富の差が激しい」とか、安易どころか、よくあるというか、口に出して「古っ!」と叫んでしまいそうなタイプの設定で、1970年代のSF映画の名作『サイレント・ランニング』とか『ソイレント・グリーン』とかを思い出させる(あれらはいい映画だったなぁ…)。
前半、登場人物紹介という面もあるのだろうが、いろんな人物が出てきて、とんがりコーンがどうしたこうしたとかやってたりして話がちっとも進まない展開が実に退屈。
前述したように、古いタイプのSFストーリー、新しめなのが某社長と某女優の宇宙旅行ネタくらいでは…。しかも急に入れた(役者のアドリブだと思うが)のだろう、ネタにすらなっていなかった。
中盤のヒロインの回想シーンからやっとのことでストーリーが動き始めるが、同時に結末までもがはっきりとわかってしまうという予定調和の展開。
全般的に歯の浮くような(尻が痒くなるような)かっちょいいセリフが散りばめられているが、出演者が美男美女揃いなのでさほどには気にならない。
まぁさほどには…。
本舞台の売りのはずの殺陣は、いいんだけど緊張感は全くといっていいほどない。
よくよく考えてみれば、殺陣というのは斬るか?斬られるか?の緊張感があるわけで、戦ってるのが体が半分機械の不死身の人間同士だったりして、どうせ斬られても機械の内蔵入れ替えれば生き返るし(そういうセリフのあったあとだし)…。
むしろ、なんで無駄な斬り合いやってんだ? ほかに解決方法なんかないのか?…と思ってしまう。このストーリー設定・展開ならば、殺陣なんか入れたのは流れとしてはむしろおかしい。


360度のステージで殺陣というと、ハロ系の舞台ではX-QUESTの『金と銀の鬼2011』(大谷雅恵出演)があったが、あの作品はもともとのストーリーが面白いし、殺陣なども格闘技を観ているような緊張感があった。
それに比べて、この作品は360度のステージということに頼りすぎたのだろう。
演者ではルナ役:日比美思殿の好演が目立った。
主演・矢島舞美殿に関しては、この人ならばあの程度はやるだろうという範囲内。殺陣を今後に生かしてほしいと思う。「矢島舞美をぶち壊してみました」(演出家氏)というが、この人がぶっ壊れたらあんなもんでは済まないということはハロヲタならば皆知っている。
『一枚のチケット』『熱帯男子』と、ハロ卒業後の舞台を見てきたが、コメディエンヌの素質があると思うので、次回は良質の喜劇に期待したい。




――舞台『LADY OUT LAW』、了――