まとめ
2000年代以降、アイドル映画は成立しにくくなったといわれる。
前編で述べたように、島田元監督の「映画はスター(=アイドル)を観に行くもの」発言にもかかわらず、である。
映画に詳しく、アイドルにもわりあい詳しい知人の言によればそれは、
「そのへんのフィクションのストーリーよりも、アイドルの実際のストーリーの方が遥かに面白いからだ」
ということだったし、筆者もそれは大方同意出来る。
(もう一つの理由は、ドルヲタがスクリーンに映っているアイドルよりも、生で観るアイドルの方に優先順位で上をつけているからである)
モーニング娘。の『ピンチランナー』(前述の知人は「最後のアイドル映画」と呼ぶ)が成功したのは、そのストーリーが実際のモーニング娘。のストーリーとシンクロしていたからだ。
しかし、その『ピンチランナー』にしても、肝心のクライマックスの駅伝シーンはちっとも面白くない。この駅伝シーンはドキュメントであり、手法としてはこの『LOCO DD』と同じなのだが、主にレースの途中経過が説明されておらず、観客にはわからないことによる*1。
舞台裏では映画以上にドラマチックな出来事*2が起こっていたにもかかわらず、である。
実際、この駅伝の部分の詳細についてはメイキング(とくにテレ東『アイドルをさがせ!』で放送されたもの*3)の方が遥かに面白いのである。
しかし、ドラマが短編であれば、構成が上手ければ、監督の腕が良ければ十分イケるというのは、この作品で証明された。
この作品のように、半分ドキュメンタリー、半分フィクションという手法は、今のアイドルを描くにはとても正しい方法だったのではないかと思える。
そして、オトメ☆コーポレーションにとっては、それがメンバーにとっては不本意な解散であったにせよ、この一本の作品を世に残せたことで、せめてもの救いになったのではないか?と思うのである。
――『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』、了――