南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

『シンデレラ the ミュージカル』まとめ

メンバーの出番、セリフ、歌の数に相当な差があるが、これは『リボンの騎士』のようなオリジナル作品ではないから仕方ない。
リボンの騎士』が宝塚にモーニング娘。のミュージカルを作ってもらった、という感じなのに対し、今回の『シンデレラ』はモーニング娘。が宝塚に入れてもらった、という感じ。
それだけに、いかに溶け込んでいるかがポイントであり、その点は概ね合格点と言っていいと思う。


多少浮いている箇所もあるのだが、それはむしろ、彼女たちがキャラクター(ミュージカル女優ではなく、アイドルであること)を守った結果、と好意的に解釈したい。




実は事前に、ストーリー的に『リボンの騎士』が長い複雑な物語を凝縮したものだったのに対し、『シンデレラ』が単純な物語だったので、『リボン〜』ほどの感動はないのでは?…と思っていたが、いらぬ心配であった。
随所にある仕掛けは観ていて楽しいし、カボチャの馬車が降りてくる場面は素直に感動した。


また、宝塚の共演者が増えたので、群衆シーンに見どころが多いのも、『リボン〜』とはまた違った味わい。
シンデレラと王子が出会う舞踏会の場面など、まさに舞台のどこでもストーリーが進んでいる感じ。
メインのシンデレラ・王子を見たり周囲の人間の動きを観たり、と忙しくて、しかも楽しい。
そしてすべては、王子がシンデレラを見初める一瞬の場面の演出につながっている。




以下、メンバー個別―。




高橋シンデレラ。
やはり「さすが」の一言。
元々“気合いの入った”宝塚ファンだけに、おそらく原作だったり宝塚演出だったりへの理解度が最も高いことは見てとれる。
宝塚ファンの方のブログに、
「宝塚の娘役に欲しいくらい…」
というのがあったが、本人知ったら嬉しいだろうな。
あと、妄想好きのシンデレラ…って、これ、ハマり役なんじゃないのかな?




新垣王子(クリス、クリストファー)。
この人がちゃんと王子になっていたのが、今回の成功の最大の要因だと思う。
声を低めに抑えた男役の芝居と歌。背中で芝居が出来ることにも驚いた。
心配していた身長の低さも、シークレットブーツを履くことによってカバー。
これも宝塚ファンの方のブログだが、
「小さな王子と小さなシンデレラが、まるで童話の中から出て来たようで、とても可愛らしかった」
という意見があった。なるほどね。
また、
小林一三宝塚歌劇団創設者)が目指した“少女歌劇”というのは、こういうものでは?」
という、ちょっとくすぐったくなる意見も。


一瞬スキが出たのは、シンデレラを追って階段を駆け上がるところ。発汗一号になってた(笑)
まぁ、これは仕方ない。宝塚の男役の人でも走る時の動きは難しそうだったし。
また、筆者の観た回(8/19夜公演)では、国王と内緒話しているのを女王に見られてしまう場面の女王に気がついた時のリアクション。
「うあ!」
あっ、ガキさんだ(笑)…と思ってしまった。面白かったんだけど。




亀井田中義姉。
台本にキャラの違いがあまりない為か、むしろ自分たちのキャラを役に生かした感。
しかし、もっともっと面白くなるはずの役だったと思う。
アドリブをやりやすい役なので、彼女たちはいろいろとやっているが、彼女たちに任せるだけでなく、演出面でもっと遊んでも良かったのではないかと思う。




道重光井妖精&町娘&淑女。
セリフほとんどなし。
しかし麻路さき殿とのダンスは立派、といっていいと思う。
役柄的にはむしろ、町娘や舞踏会の淑女役の時の方が、水を得た魚だったような気がする。




久住伝令官(フランツ)。
歌のところで低い声を出さなければならない為に苦戦していたが、芝居の部分では凛々しい男役だった。
長ゼリフも見事。
あとこの人は、『リボン〜』の時に既にそうだったが、リアクション、特に人のセリフを聴いている時の芝居が一番上手い。




ジュンリンページ。
フランツと組になっているので意外と出番が多い。
セリフは二幕にひとつずつあるだけ。
舞踏会の場面で淑女役のリンリン殿はすぐわかったが、ジュンジュン殿がなかなか見つけられず、気がついたら男役に混じって居た。
宝塚の男役と一番身長が近いからだろうが、これも凛々しくていい。




皆さんお疲れさまでした。
ご褒美の(?)ハワイが待ってるね。