南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

情報量と使命感

朝日新聞に「地方から輝く」というタイトルで、地方発アイドルに関する記事。
愛媛県松山市発のアイドルグループ・ひめキュンフルーツ缶のメンバー:岡本真依殿、タワーレコード嶺脇育夫社長、新潟大学:吉田和比古教授(言語学、マスメディア論)のインタビュー。



面白いのは、吉田教授の、
「(Negiccoなどの)地方発アイドルがうけているのも、橋下大阪市長が支持を集めているのも同じ文脈でとらえている」
という発言。
これは「東京発の文化、政治を一方的に受容してきたことへの、地方からの異議申し立て」なのだと分析している。
中央に巨大なアイドルが居てこそなのだと思う。
自分の住んでいる地方に全国展開しているチェーン店が来たら、それをありがたがる人も居るだろうし、反発する人も当然居るわけである。


一方、嶺脇社長は、パソコンの普及により動画サイトが急速に広がったことによって、どこに居てもファンが過去の活動を追体験出来るようになったこと。それと、同じくパソコンにより、楽曲制作が安くなったことが大きい、と見る。
「東京と地方の情報格差は消えたのです」
という。


以前ある人に、
「都会人と田舎者の概念が昔と変わっちゃったんだ」
と言われたことがある。
確かにそうで、要は情報量なのである。インターネットの普及により、地方の人の方が東京に詳しかったりするし、意外に「生まれも育ちも東京」なんて人の方がなんにも知らなかったりする。そういう人は「生まれも育ちも東京」であっても、今や「田舎者」なのである。
もっと言えば、外国在住でも東京の人間よりも東京に詳しい人が居るはずである。
ということは、東京の人間よりもNegiccoひめキュンフルーツ缶に詳しい外国人、なんてのが出てきてもおかしくないし、もう既に居るのだろう。


嶺脇社長の「地方にいながら、メジャーで成功したアイドルはいないが、今のCD不況の中で何か手を打たないといけない。メーカー主導でない音楽の売り方がうまくいけば、音楽業界が活性化する可能性がある。使命感を持ってやっている」という発言にも拍手を送りたいが、春から大都市圏中心のツアーが始まるというひめキュンフルーツ缶の岡本殿。

「東京進出の第一歩? 違いますよ。だって、私たちが東京に進出して、CDをいっぱい売って、テレビにたくさん出るだけじゃ、ふるさと活性の重大使命は果たせませんからね」

中学二年生にして、お見事、というほかない。


もしかすると将来、「ひめキュンフルーツ缶を観に松山へ来ました」なんて外国人観光客が増えるかもしれない。