南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

カレー屋奇譚

それほど馴染みなわけでもないが、時折世話になるカレー屋に、最近インド人の店員が入った。


ちなみに店主以下、他の店員はことごとく日本人である。


しかし、そのカレー屋のカレーは、見事なまでに和風のカレーなのであって、


「わざとらしい店だな」
「インド人を雇う意味がわからぬ」


などの意見が筆者の周囲で噴出している。






さらにごく最近、その店で、筆者の周囲では今まで誰も注文したことのなかった豚汁を食した者がおり、感想を聞いたところ、
「とくに美味いわけではない」
というものであった。
それを受けて、


「それは、あのインド人が作っているからではあるまいか?」


と言い出した者がおり、


「おお、新人の修業が豚汁なのかもしれぬ」


という賛同する意見も出た。






なんでもそのインド人の彼のせいにするのは良くないが、仮にそうだとすると、




「日本人がカレーを作り、インド人が豚汁を作っている」




というわけになる。








わけが分からない。








さらにここへ来て、我々は大いなる疑問にぶち当たったのである。























「そもそも、彼はインド人なのか?」















…ということである。











そういえば、べつに彼が、
「私はインド人です」と名乗ったこともなく、他の店員が、
「彼はインドから来たんですよ」
とか言ったわけではないのである。






なるほど我々は、カレー屋に居るからインド人だと思ったのであって、もしかするとカレーとはまったく縁もゆかりもない国の出身なのかも知れず、そればかりか…、
















実は埼玉生まれとか。













かくして何も解決しないまま、夜は更けて行くのであった。






まったく人騒がせなカレー屋である。











いや、こっちが勝手に騒いでいるだけなのだが…。