南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

春日局と坂本龍馬

『日本史サスペンス劇場』
日本テレビ系列 5月14日(水)19時58分〜20時54分
春日局の野望・大奥物語…家光の世継ぎ問題▽突然離婚された妻が新妻に報復を」


【司会】船越英一郎、ビビる大木、鈴江奈々(アナウンサー)
【ゲスト】バナナマン里田まい
【解説】武光誠明治学院大教授)
【ドラマ出演】
春日局の野望
黒谷友香(稲葉福、のち春日局)、高杉瑞穂徳川家光)、森ほさちお江与の方)、長門裕之徳川家康
・騒動打ち
紫吹淳
【レポーター(瓦版屋)】石井正則


春日局が、徳川家光の実の生母だったという説である。


これはそういう説を唱えている人も居るし、いろいろな小説やら映画やらのネタになっている。


この番組のドラマ部分でも、次期将軍を狙う家光・忠長兄弟と、それぞれの“生母”の確執が軸となっていた。




ちなみに、家光のもう一人の異母弟で、忠長と違って家光に忠実で(家光に対し常に臣下の礼をとり、一度も弟らしい素振りを見せたことがないらしい)、家光の遺言により、四代将軍・家綱の補佐を託されたのが、会津松平家初代となる保科正之


舞台『平成レボリューション〜』の保科家(長女・柴田あゆみ、次女・福田花音)は、この人の名前からとったんだと思うのだが…。(里田まい殿、出演してましたな)




さて、ドラマ部分でも語られていたが、よく知られているように、春日局の父・斎藤内蔵助利三は、明智光秀の一族で重臣
いや、彼こそが本能寺の変の首謀者だったという説さえある。
春日局の夫・稲葉正成は、小早川秀秋の家老で、関ヶ原合戦の時に、秀秋の西軍(豊臣方)から東軍(徳川方)への内通・寝返りに主導的役割を果たした、とされている人物。


このあたりの話は、これもやはり、あちらこちらで小説やら映画やらドラマやらのネタになっている。
「これこそが本能寺の変の真相だ!」とか「関ヶ原明智一族の復讐だった!」とか…。
確かに、いろいろと憶測出来る一族の経歴である。




しかし、これだけで終わらないのが、この一族の妙なところ。




利三の妹(春日局の叔母)は、土佐の国主・長曽我部元親に嫁いで、生まれた子がのちの盛親。
つまり長曽我部盛親春日局はいとこ同士ということになる。
明智光秀が山崎の合戦で豊臣秀吉に敗れ、残党狩りを怖れた明智の遺臣の多くは、この縁から、当時まだ独立勢力で、四国統一目前であった長曽我部家を頼り、土佐へ逃れた。
のち元親は秀吉に屈し、土佐一国を安堵されてその傘下となるが、元親の死後、盛親は関ヶ原で西軍に属した為に所領没収となり、のち大阪の冬・夏の陣で旧臣を率いて勇戦したものの、結果、豊臣氏に殉じている。


その後、徳川家光の死の混乱に乗じて幕府転覆を謀ったとされる、慶安事件の首謀者・由比正雪の盟友・丸橋忠弥は盛親の遺児とされている。
(忠弥の本名は長曽我部盛澄、とする説がある)


さらに幕末、土佐に残った長曽我部旧臣の末裔(土佐郷士)の中から、坂本龍馬中岡慎太郎土佐勤王党の連中が出て来るわけで…。
坂本龍馬の坂本家は、伝承では明智光秀の娘婿・左馬助秀満の末裔となっており、坂本姓は、明智家の居城・近江坂本城から付けたものらしい。明智家も坂本家も桔梗の家紋)
坂本・中岡は凶刃に倒れるものの、土佐勤王党の残党が、のち戊辰戦争会津藩と戦うことになるのだから、歴史というのは妙な因縁である。