南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

ラグビーの日

で、イギリスのスポーツについて―。




今日8/24は「ラグビーの日」だったのである。



ラグビーの日
1823年、イングランドパブリックスクールラグビー校で開かれたフットボールの試合中に、興奮した生徒・ウィリアム・エリスがルールを無視してボールを抱えて相手チームのゴールへ突進した。これがラグビーの発祥であるとされている。

http://www.nnh.to/08/24.html


だから、ラグビー・ワールドカップの優勝カップの正式名称はウェッブ・エリス・トロフィー…。




わりと知られた話ではあるものの、いろいろと誤解を生んでいるエピソードである。


まず、よく、
『サッカーの試合で』
と誤記されるのが多いこと。
NHKの放送ですら、そう言っていることがある。
もちろん、エリス少年の時代のフットボールとは、現在のサッカーではなく、世界のフットボールの元祖ともいうべきスポーツで、ルール上、手を使うことは許されていた。


従って、
『ウィリアム・エリスがルールを無視してボールを抱えて相手チームのゴールへ突進した』
というこの部分も、よく誤解されており、
『ボールを抱えて』という点が『ルールを無視して』いるのではなく、『相手チームのゴールへ突進した』のが、ルール違反だったわけである。
当時のフットボールのルールでは、ボールを手に持つことは、数歩以内あるいは前方へ進むこと以外であれば、ボールを手にしたまま走ることは反則ではなかったのである。




なお、このエリス少年の伝説―。


ラグビー校の校友誌に『1820年代のフットボール』という文章で、エリス少年のエピソードが初めて紹介されたのが57年後の1880年であり、著者のマシュー・ブロクサムという人物は、実見しておらず、伝聞で書いたものであること。
また、『ボールを抱えて相手チームのゴールへ突進』すること自体も、正式に認められていたわけではないが(正式に認められたのは1841年)、1820年代にすでに一部容認されていたらしいこと。


ラグビーの起源と伝説』
http://members2.jcom.home.ne.jp/ovalaerie/rug_101.html


以上の二点から、エリス少年のエピソードは史実ではない、という説の方が有力である。


このあたり、野球(ベースボール)の起源*1に似ているが、しかし、こういう伝説を持つことが出来るというのも、古くからあるスポーツの特権なのであって、ひとつのユーモアと解釈した方がいいのかもしれない。
 
 

*1:1839年、アブナー・ダブルディ少佐が考案した、とする説。歴史的には疑問視されている。