南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

大山詣り・2


阿夫利(あふり)神社公式HP
http://www.afuri.or.jp/
落語『大山詣り
http://ginjo.fc2web.com/141ooyamamairi/ooyama_mairi.htm




12:00、下社(しもしゃ)を出発。


下社拝殿の左手奥に、扉が片側だけ開いている門があり、そこが山頂(阿夫利神社本社)への登山口。

何故片側だけしか開いていないのか?


…というと、江戸時代以前は夏の祭礼期以外は本社(山頂)への登頂(登拝という)が禁止されていたとかで、しかし明治以降登拝者が増えたことにより、次第にその規制は緩められ、現在では常時開放されているものの、往時の名残と歴史的意義を残す意味で、片側だけは閉じられているのだそうだ。



門をくぐると、まずは百段以上もある石の階段を登ることになる。
一段ずつが普通の階段よりやや高い。
しかも手すりはあるものの、「老朽化しておりますので…」という注意書きがあって、あまり頼りにならない。


こりゃ大変だ(T_T)


…と思ったが、ここまで登って来て多少脚が慣れていたのか、自分でも意外なほどすいすい登れた。



階段を登りきると登山道に入る。
「本坂」と呼ばれるこの登山道には、下社を一丁目、山頂を二十八丁目とする、だいたいの距離を「丁目」で表している石碑がある。
あまり正確な距離を示すものでもないらしいが、こういうのがあると、「あとどのくらい」という目安にもなるし、励みにもなるのでたいへんありがたい。


四丁目まではあっという間。
夫婦杉が見えたら、八丁目。
ここまで約12分。

八丁目から十二丁目あたりがやや苦しく、休み休み…というか、ダラダラと登る。


すると、上でズザザザ…という大きな音がして、男の人が滑り落ちて来たので驚いた。
幸い、たいしたことはなかったようだが、足を見ると革靴。
そりゃ滑るわな…。


この大山の場合、下社までケーブルカーでやって来て、「山頂まで90分」とあるから、
「じゃあ、ちょっと登って来ようか」
などと、軽い気持ちで登る人が多いらしく、軽装の人がわりと多いのである。
街中を歩いているのと変わらない、ショルダーバッグに革靴、なんていう人も居て、その人も見事に滑って転んでいた。
岩に頭ぶつけたら大変だぞ…。
と、実際に北アルプス山中にて、岩場で頭から血を流して倒れている人に遭遇したことのある筆者は思うのである。
(その人は同行者が大勢おり、直後にヘリコプターで運ばれたので無事だったらしい)


「初心者にも登りやすい山」
と書いたが、山は山なんであって、やはりそれなりの準備をして来なければならないだろう。
かつて落語の『大山詣り』にあやかって、落語協会の幹部たちで大山登山をしたものの、一人、また一人と脱落して、結局誰一人として山頂に辿り着けなかった…という、笑っていいんだか笑っちゃいけないんだか、ホントなんだかネタなんだか、まったくもってリアクションに困ってしまう逸話もあるくらいなのである。
せめて運動靴くらい履いて来い。


…と思ったら、いかにも今回おろしたての真新しい運動靴を履いたグループもいて、あれはあれで足に靴が慣れてなくて、足痛くならんかな?…と心配になってしまう。
下社の、“片側だけ閉じていた門”の意味はちゃんとあるのだ、と思った。
あれの意味がわかる人だけ登ったらいいんだな…。



十六丁目で簑毛越からの道と合流。
ここまで下社から40分ほど。



下社を出発して約一時間。
伊勢原の街が見えて来た。

伊勢原というと、ハロヲタ的には伊勢原市民文化会館だろうか?


筆者の記憶では、過去にメロン記念日(2003年。1st Anniversary)と安倍なつみ殿(2005年。ふれあいコンサート。保田圭℃-ute出演)がコンサートをやっている。
メロン記念日の時はツアー初日(追加公演)で、まだアルバムの発売日前だったから、『ANNIVERSARY』も『ENDLESS YOUTH』も筆者はあそこで初めて聴いたのだった。
よく考えれば、メロン記念日単独としては、あれ、初のホールコンサートだったんだな。
近くにJAがあって、ヲタさんたちが大勢集まっているのに驚いたのか、ご老人方が集まり、
めろんきねんび?」
めろんきねんびだって」
めろんきねんびなのかい?」
などと口々に話していたのが思い出される。




二十丁目は「富士見台」という場所で、その名の通り、晴れた日には富士山がよく見えるらしいが、残念ながらこの日は見えず。


しかし、二十丁目を過ぎたので、自分の中ではカウントダウンが始まっている。
(山頂は二十八丁目。念の為)



二十五丁目でヤビツ峠からの道と合流。


うん、がんばるよ。




もう少し行くと、妙な階段があった。

こりゃなんだろう…?
 
 

へぇ〜



鹿は蹄だから、格子状のものを歩くのが嫌いなのか…。
引っかかりそうでイヤなんだろうな。


ハイヒールを履いたお姉さんが、格子状の上を嫌がるみたいなことだろうか…?





そしてついに、銅の鳥居が見えてきた。
二十七丁目だ。


あと一丁!



ゴールだ…。





最後のひと登り…。



かくして下社出発から90分後、大山山頂に到着。

伊勢原の街が見える。
隣は厚木の街。
その隣は海老名の街。
さらにその隣は真野恵里菜殿の故郷、座間の街…。




きらびやかな下社と違い、本社は古色蒼然たるたたずまい。
しかし、それが歴史的貫禄を感じさせる。



とりあえず参拝――。

ここまで無事でした。
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。






さて、腹減ったな…。




―つづく―