南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

メロン記念日×THE COLLECTORS@『Rooftop』

書くことがいろいろと貯まっておりますが…。
とりあえずは、いよいよ明日に迫った『MELON LOUNGE』。
メロン記念日×THE COLLECTORS『青春・オン・ザ・ロード』初披露に備えて、予習を兼ねて――。



メロン meets 60'sブリティッシュ・ビート!
彷徨の季節の終わりを告げるラヴ・ソングの至宝『青春・オン・ザ・ロード


ビート・クルセイダース、ニューロティカ、ミドリと続いた“メロン記念日ロック化計画”第4弾は、日本のモッズ・シーンにおける先駆的バンド、ザ・コレクターズが満を持しての登場だ。60年代のブリティッシュ・ビート・スピリッツを今に伝える彼らがメロン記念日に提供した『青春・オン・ザ・ロード』は、ライヴで無条件に盛り上がれるアップ・テンポのロック・チューンという過去3作のコラボレート楽曲とは大きく趣きが異なり、往年のブリティッシュ・ロックのエッセンスが詰まったミディアム・テンポの哀愁ナンバー。モッズ・アイコンのひとつであるヴェスパ(あるいはランブレッタ)で海岸線をひた走った夏の恋を追憶する愛くるしいラヴ・ソングなのである。酸いも甘いも噛み分けたコレクターズの泰然たるアンサンブルに呼応するように、メロン記念日はヴォーカル・バンドとしての力量を遺憾なく発揮している。いよいよ広がりと深みと“NP”が増した“ロック化計画”の新境地的作品を携え、メロン記念日の進化と深化は来たるデビュー10周年に向けてさらに加速していくかのようだ。


【出席】
斉藤瞳メロン記念日
村田めぐみメロン記念日
大谷雅恵メロン記念日
柴田あゆみメロン記念日
加藤ひさしザ・コレクターズ(vo))
古市コータロー(ザ・コレクターズ(g))


【インタビュアー】
椎名宗之(『Rooftop』編集長)


メロン meets 60'sブリティッシュ・ビート

■コレクターズから見たメロン記念日
加藤氏も古市氏もメロン記念日のことは知っていて、何曲かテレビでも見たことがあったが、ハロプロのグループはどれも同じように見えていたので、グループの特色までは判らなかった。
「かつてコレクターズのスタンスはアンチ歌謡曲であったけれど、最近はロックと歌謡曲のボーダレス化があってそんなに突っ張ることはないと思う」(加藤)



メロン記念日から見たコレクターズ
「自分たちのライヴを『ロックだね』と言われて、そうかな?と思ったこともあったが、コレクターズは、ロックだ!と思った。あと、凄くお洒落だなという印象」(大谷)



■ジャケ写やアー写でのこだわり
「モッズに興味のある人まで巻き込んで驚かせたいというのが狙い。60年代のモッズ・ガールをイメージしたジャケットにしたかった」(加藤)
21世紀的なストリートを感じさせるモッズ・テイストとしてリッケンバッカーのギターを使用。
アー写に使われた8本のリッケンは、古市氏のが3本、加藤氏のが2本、あとはプロデューサーの吉田仁氏(サロンミュージック)*1とリッケンマニアの友人から掻き集めたもの。



メロン記念日から見た60年代モッズ・カルチャー
ピチカート・ファイヴみたいなファッションって言われて、ああ…と」(大谷)
コレクターズのアルバム『COLLECTOR NUMBER 5』は小西康陽氏プロデュース。コレクターズの事務所の社長は元・小西氏のマネージャーだった由。



『青春・オン・ザ・ロード

■楽曲について
「事前にメロンのCDをじっくり聴いたが、従来のような楽曲は書けないと思った」(加藤)
ライヴァルたち(ビークルニューロティカ、ミドリ)の仕事振りが気になったのでメロンのライヴに行き、ライヴァルの仕上げたCDを聴いて曲調が重ならないようにした。
メロンのファンが聴いた時に“やっぱりコレクターズが一番良かったね”と言われるような作品を作りたかった。
「俺たちが手掛ける以上は60年代のモッズ・フィーリング的なものとか、70年代の終わりのネオ・モッズ的なパンキッシュな感じとかをどこかに滲ませておかないといけない」(加藤)
そこで2曲ほどデモを作ったが、どちらにするか最後まで揉めた。


“A”=アッパーな曲
“B”=『青春・オン・ザ・ロード


メロン記念日の四人は全員一致で“B”。
「メロディ・ラインの印象が凄く強くて、“B”の方がライヴでみんなと一緒に唄えるんじゃないかという判断」(斉藤)
ちなみに、吉田仁氏は“A”、古市氏は“B”だったとのこと。
「結果的には“B”にして良かったと思う。コラボで激しいのが3枚続いたし、ロック=激しいっていうのもちょっと違うと思う」(加藤)



■曲名
タイトルにある“オン・ザ・ロード”は、ジャック・ケルアックの自伝的小説『路上』へのオマージュ。
「コレクターズとメロン記念日の共通点は長いこと活動を続けていること。コレクターズは23年、メロンは10年だけど、アイドルグループを10年続けるのはロックバンドを20年続けるくらい大変なことだと思う」(加藤)
歌詞ではあくまでも“あなたと私”だが、仲間でバイクに乗っていく感じ。過ごして楽しい時期も悲しい時期もあった。誰かひとりが欠けても寂しいというニュアンス。
「グループとしての生き様みたいなものを封じ込めた曲があってもいいんじゃないか。それを作れるのは多分俺だけだと思った」(加藤)
“青春”を頭に付けたのは、狂騒も最後は儚く終わるみたいな刹那的なものも歌にしたかったから。
「今までのメロンにはない曲を頂いたし、時期的にも泣きのメロディと秋のセンチメンタルな部分がぴったり合ってると思う」(村田)



サウンド面で気に留めたところ
「コータローさんの情感豊かなギター・ソロが個人的にはグッと来ました」(椎名)
「あれは後で録り直したんだ(笑)」(古市)



レコーディング

■パートの振り分け
まずメロン四人に5トラックくらい唄って歌を噛み締めてもらってから振り分け。
ビークルニューロティカの曲でメインだった斉藤・大谷の声は太い感じだからアッパーな曲には向いてるが、
「今回の曲はもうちょっと線の細い声が合うと思ったので、柴田さんにスポットを当てた」(加藤)



■レコーディングの苦労
大谷殿は初めて唄った時にヴィブラートを入れたら、演歌みたいに小節が回ってしまった。
「ゆっくりな曲が久々だったのと、ゆっくりな曲だと何かしなくちゃいけないという思いがあってつい過剰に唄ってしまう」(大谷)
本番のレコーディングで加藤氏から「ヴィブラートしないで唄ってみて下さい」と言われて唄ってみたら、ちゃんとサウンドに溶け込んだ歌に。
「もっとペッタリ唄ってもらったほうが洋楽っぽく聴こえる」(加藤)
「もともと強い声質なので、唄い方が凄く難しかった。難しい曲でもきちんと唄えるようにならなくちゃダメだなと痛感」(斉藤)
「いい意味でノリだけでは唄えない歌を勉強できた。そのぶん歌詞の情景を凄く鮮明に思い浮かべながらレコーディングできたし、歌詞に思いの丈を込めることができた」(柴田)
「ハモもたくさん録って、出来上がったのを聴いたらハモに凄く厚みを感じた」(村田)
「ハーモニーは凄く綺麗だった。(吉田)仁さんとふたりでかなり練った。自分でも凄くいい歌だなと思う。自分が唄うよりもいいんじゃないかと思ったくらい(笑)」(加藤)
加藤氏自身のコーラス部分については、
「自分の声が郷ひろみに聴こえてしょうがないんだよ(笑)」(加藤)


なお、加藤氏が心配していたのは、女の子の気持ちで歌詞を書いても、実は女の子ってそんな気持ちじゃなかったりすること。
しかしメロン側は否定。
「凄く感情移入しやすかったですね」(柴田)



■包容力
今回のレコーディングを通じて、メロンがこれまでコラボしたバンドにはない部分をコレクターズに感じた部分は“包容力”。
「レコーディングって凄く緊張するが、コレクターズさんは面白い雰囲気作りをして下さったので、とてもリラックスさせて頂いた」(村田)
「褒めて育てるのが俺の流儀。この世界に入った当時はレコーディングでずっと怒られてばかりだったから」(加藤)



その他

■メロンがコレクターズのライブを観に行った時に『リグレイ・チューインガム』という曲で、客席からガムが飛んでくるのを見て驚愕。
村田殿は最初ガムが札束に見えたらしい(笑)。
柴田殿はメロン記念日にも採り入れようとか話してた(笑)
(“下町の玉三郎”じゃないんだから…(笑))
「あれがお金だったら、今頃億万長者になってるよ(笑)」(加藤)


■加藤氏ご母堂と斉藤殿は家が近い。
「それで親近感を覚えた(笑)」(加藤)
(ということは、入潟太鼓もご存知で…?)


■加藤氏が女性グループに楽曲を提供するのは、BOYSTYLEの『BOYS BE STYLISH!』『正義の恋』以来。
演奏まで含めた楽曲提供は藤井フミヤ『JOIN TOGETHER』以来2度目。


■大谷殿は歌詞に出てくる“プラネット”が何か判らないまま歌っていた。
プラネタリウムみたいなものかな?と思いながら唄ってました(笑)」(大谷)


■『青春・オン・ザ・ロード』をコレクターズ単体で発表することは考えていない。
「女の子の気持ちで書いた曲だから」(加藤)



MELON LOUNGE

■来たる“MELON LOUNGE”へ向けて
双方が双方の楽曲を唄うパートが設けられる。
「メロンが普段のライヴは生演奏でやってないと聞いたので、何曲かメロンの曲をコレクターズで演奏して唄ってもらうのも面白いんじゃないかな」(加藤)
また、コレクターズの曲をメロンが歌うことに関しては、
「ポップな曲が多いから意外と何でも合うんじゃないか。ただキーを設定し直す必要があるんでそれが大変」(加藤)


ちなみに、メロンももちろん、コレクターズもアストロホールでライヴをやるのは初めて。
「メロンのお客さんは普段お目に掛かる人たちじゃないから、どういうご挨拶をしたらいいのかちょっと心配(笑)」(加藤)
「MCが楽しみ(笑)」(柴田)
「お客さんが凄く喋り掛けてくると思いますよ(笑)」(村田)



■メロンからヲタもだちへのメッセージ
「実際に現場へ行かないと判らない部分があるし、今までと全然見え方が違う“〜LOUNGE”になると思うし、一風違った“〜LOUNGE”にしたいと思う」(大谷)
「“NP”(泣けるポイント)は生で聴くと、よりパワーを増すと思う。ハモの厚みを再現するのは難しいが、そこはちゃんと届けたい」(村田)
O-EASTよりコンパクトだし、一体感も変わると思うけど、コレクターズの皆さんとご一緒させて頂く以上はお洒落でお上品な夜にしたい(笑)。コレクターズさんのライヴを見させてもらった帰り道はお洒落でお上品な気分になれるんで。お客さんにもそんな気分になってもらえたら嬉しい」(柴田)
「コレクターズさんは凄く大人の雰囲気を醸し出していて、そこが自分にとって最も欠けている部分なんじゃないかと今回指摘された気分。コレクターズさんのお客さんも大人な方たちが多いでしょうから、そういう人たちにも受け入れてもらえるグループにならないとこの“ロック化計画”は広がっていかないと思う。いつもと違うタイプの方たちも見て下さる絶好の機会なので、自分たちの持ち味をしっかりと出せるライヴにしたい」(斉藤)




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*1:主なプロデュースアーティストは、フリッパーズ・ギター、ヴィーナス・ペーター、ブリッジ、ザ・コレクターズ、ザ・ピロウズスパングル・コール・リリ・ラインヌードルス、ブレックファスト、ザ・プレデターズなど。http://www.polystar.co.jp/contents/artist/database/salonmusic.html