南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

即興&演劇「楽屋〜負けん気〜」(2015/11/10-11)

即興&演劇「楽屋〜負けん気〜」
高橋愛を迎え、チーム・負けん気メンバーが即興芝居に挑戦!
どんな舞台が出来上がるのか!?
どんなシチュエーションでどんなキャラの人物をどう演じるのか?
毎回違った展開がおこるエチュード演劇!!
「アイドルの楽屋の中を見た事有りますか?」


日時
2015年11月10日(火) ?開演18:30 / ?開演20:30
2015年11月11日(水) ?開演19:00
会場
新宿シアターモリエール
料金
全席指定:5500円(税込)
チケット一般発売日:10月17日(土)
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出演
高橋愛 / 吉川友 / 後藤夕貴 / 橋本愛奈 / 諸塚香奈実 / 仙石みなみ / 古川小夏 / 森咲樹
※出演者は変更になる場合がございます。
演出:太田善也
主催:アップフロントクリエイト
企画・制作:アップフロントクリエイト、オデッセー
協力:演劇女子部

http://gekijyo.net/Gekipro/stage/2015/10/post-52.html


初日の二回目と楽日の公演とを観劇した。
新宿シアターモリエール
シアターモリエールは以前友人に誘われてハロー!とは関係ない舞台を観に行ったことがあった。
チンギス・ハンの長男・ジュチが主人公の芝居で、偉大な父の息子として悩む物語であった。
「チンギス・ハン=源義経」説をとっていて、主人公が「じい」と呼んでいる老人は実は弁慶ののちの姿だったりする。
芝居は面白かったが、「モリエール」といえばフランスの人*1で、そこでモンゴルの芝居を観るというのも妙だな…と思ったものだった。
今回は出演者の中に大のフランス好きである森咲樹殿がいるから違和感はなし(?) *2



開演前、場内BGMで負けん気勢の曲とともに、高橋愛『自信持って 夢を持って 飛び立つから』が流れる。
「実は高橋愛ちゃん初めて生で見る…」
「アプガまだ顔と名前が一致してないんだよね…」
などという観客の声も聴かれた場内。かくいう筆者も、高橋愛殿を生で観るのは負けん気のライブを観に来ていた時にちらっと見た時以来であろうか。
なお、アプガ:佐藤綾乃佐保明梨新井愛瞳殿は初日の一回目を観に来ていたらしい。
楽日には関根梓殿が訪れ、最後列で観劇していた。


演出は太田善也氏(ex.散歩道楽)。
高橋愛殿とは『おじぎ』シリーズ以来久々のタッグ。
アプガ+吉川殿にとっては、ハロプロエッグ時代の演技指導の先生。
アプガ勢とは定期公演の『小夏の部屋』『小夏の部屋2』でも組んでますな。
逆にチャオベラ勢は初めて組むのかな?
役柄設定は、
「研修生で最後までデビュー出来なかったメンバーが集められたアイドルグループ」=「負けん気ガールズ(後藤・橋本・諸塚・吉川・仙石・古川・森)」と、
そのプロデューサーである「元・国民的アイドルグループの6代目リーダー(高橋)」。

舞台は負けん気ガールズの一回目と二回目の公演の合間の楽屋。
二回目の公演には「シークレットゲスト」が登場することがメンバーに伝えられている。
すると、メンバーの一人が辞めたいと言い出したので、その理由を訊いてみると…。
「それならちょっと◯◯をやってみなさい」
というわけで、エチュード(即興劇)が始まる…というもの。
「辞めたい」と言い出すメンバーとその理由は公演ごとに違っている。



初日二回目の公演では古川小夏殿が「辞めたい」と言い出す。
理由はアイドルよりも女優を目指したいから。
そこで高橋プロデューサーは、
「じゃ、ちょっとやってみなさい」
と言って、即興で芝居をさせる。
最初に登場するのは古川殿と恋人役の森殿。倦怠期中のカップル。
そこから司令塔役の高橋殿が、必要に応じて他のメンバーを新たに即興劇に投入していく。
変な英語を使う女の子(仙石)。
不良グループ(橋本・諸塚)。
アドリブに次ぐアドリブで収集つかない状態となり、結局、
高橋「あなた女優むいてないわね!」
というオチ。
しかし今度はべつのメンバーが辞めたいと言い出して…。



初日・楽日とも、後半で司令塔役の高橋殿が次第に即興劇に巻き込まれていくのが見もの。
しかし、一発で流れを変えられるポテンシャルはさすがのひとこと。
楽日では、司令塔役を森咲樹殿に奪われ(奪われた時に茫然と森殿を見つめる素の表情が強烈に印象に残る(笑))、モーニング娘。のオーディションを受ける許しを得るために元ヤンキーの父親を説得する場面が再現される。
10年ぶりに聴いた『ホッピーでホップ♪』。
父親を説得するために発したという、伝説の「ゴマキ抜くで!」発言などが再現された。



負けん気勢のMVPは衆目の一致するところで、橋本愛奈殿であろう。
「スナックはしもん」でみんなの相談にのるママの芝居はこの公演最大の収穫。ほかにも要所で笑いを取っていた。コントでお笑い番組に出られそうな勢い。
かねがね演技好きを広言している古川小夏殿はリードオフマン的ポジション。
舞台経験豊富な森咲樹殿は終始安定感。
同じく演技経験豊富な吉川友殿は、負けん気内ということもあって予想通りの飛び道具っぷりであったが、小道具を自由自在に使い、その使い方がまた圧倒的に上手い。
後藤夕貴殿は珍しいリーダー役で、新鮮であった。
諸塚香奈実殿は「辞めたい」と言い出したのにみんなに簡単に説得されてしまいそうになるのは、この人らしくて逆に可笑しかった。

個人的に注目だったのは仙石みなみ殿。
全般的にはブリっ子キャラであったが、即興部分で演じた「森咲樹一人暮らし編」のおかしな隣人役といい、「後藤夕貴悩むアイドル編」のストーカーまがいのキモヲタ役といい、こんなに引き出し持ってたのか!とうならせてくれた。
圧巻だったのは前述の「高橋愛父親説得編」の元ヤンキーの父親役。
父親(仙石)「お前、宝塚に入りたかったんじゃなかったのか?」
高橋「身長が伸びなくて…」
父親(仙石)「背が低いのはわしに似たからだ!」
観客<拍手+爆笑
思わず高橋殿が「サンキュー」サインを送ったほど、見事なオチの付け方であった。



舞台のラスト、高橋プロデューサーはメンバーに語りかける。
「あなたたちは負け組。でも“負けん気”があったからこそ、私はプロデュースしたいと思ったの!」
そして、国民的アイドルグループのリーダーだった当時の苦悩や葛藤、いかにしてそれを乗り越えていったかを語るのだが、それはまさにモーニング娘。リーダー時代の実体験に基づいた話であり、彼女はここで本当に涙をこぼすのである。アイドルとしての魂の継承を間近に見たような感動を覚えた。
メンバーにも秘密であった「シークレットゲスト」とは実はアイドルとして復帰する高橋プロデューサー本人であり、ライバルとして「負けん気ガールズ」に挑戦状を叩きつけるのであった。



千秋楽では、カーテンコールで出演者一人ずつ挨拶があった。
古川小夏「いつも一緒にライブをやっている負けん気メンバーと、大先輩の高橋愛さんとの空気感、いいものが出せたんじゃないかなと思います」
仙石みなみ「今回はイタいキャラの設定だったので、『こいつウザいなー』と思っていただけたら幸いです(笑)」
諸塚香奈実「人生初めてのツッコミ役。あんまりツッコめてなかったんですけど…(苦笑) でも新しいことが出来ました。緊張してこの二日間ほとんど寝られなかったので、今日はぐっすり寝れそうです(笑)」
橋本愛奈「人生初めての即興劇。なんかこの二日間で、アイドルとしてはどうなの?ってキャラになっちゃったかもしれないんですけど…(苦笑) “一緒にお酒を呑みたいアイドル”を目指したいと思います!(笑)」
後藤夕貴「いつも末っ子なのにリーダー役で…。リーダーって大変なんだなぁ…て思いました。負けん気ガールズ、今後も第二弾、第三弾と続けていきたいです!」
森咲樹「高橋さんとは『ファッショナブル』以来の一緒の舞台で、勉強になりました。今回はブラックキャラで…。私、一年ごとにキャラが変わるんですね(苦笑) 前にブラックキャラをやっていた時はしっくりこなかったんですけど、今回やったら、あ、いいなって思いました(笑)」
吉川友吉川友役の吉川友です!(笑) 緊張したり結構大変だったんですけど、高橋さんの笑顔に癒やされました。勉強して高橋さんを抜けるように頑張ります! アーメン!」
高橋愛「負けん気のメンバーはちっちゃい頃から知ってるので、しっかりしてるなぁ、ちゃんと自分のキャラとか考えてて…と思いました。(負けん気の)ライブ観に行ったこともあるんですけど、こんなにがっつり組んだことはなかったので…。好きだったんですけど、もっと好きになりました!」
負けん気勢<拍手+歓声
高橋「私、楽屋に一番最初に入ったんですね。いちばん奥に座ったんですけど、ちょっと変わった構造で私の隣ひとつだけ空いてるんです。でもみんな反対側に座って…。『あー、話しかけづらいんだー』って…!(笑)」
負けん気メンバー、必死に否定。
高橋「この役大変だったんですよ! 次あったらそっち(負けん気)に混ざりたい! 誰かこの役代わって!(笑)」



――つづけ――
 
 

*1:17世紀フランスの俳優、劇作家。江守徹がこの人から芸名をとったことでも知られる。モリエール - Wikipedia

*2:終演後の握手会で言ったら森咲樹殿はモリエールがフランス人だと知らなかったが…(苦笑)