南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

アプガの日本武道館決定について、ニ、三の事柄

アンコールの最後、佐藤綾乃の挨拶が終わる。
これでライブは終わりかと思いきや、ステージにひょっこりマイクを持ったY田チーフマネが現れた。
異例中の異例であったので、
(サプライズ発表があるんだ…!)
とは咄嗟に理解した。
(あー、だから取材スペースがあんなに広かったのかー!)
とも…。
メンバーは一斉に不安げな表情を浮かべる。
しかし、話がニューシングルのオリコン最高順位・売上最高枚数の御礼から始まったので、
(次のシングルかアルバムのことかな?)
と、思っていた…。

Y田「このライブが終わるまで、ギリギリまで悩んでたんですが、みんなのライブに打ち込む姿を見て決心しました…」

Y田「2016年の11月8日に、アップアップガールズ(仮)の、日本武道館公演をやろうと思います!」


開演前、場内の盛り上がりの様子を見ていて、気持ちは高ぶってはいるものの、一抹の不安を抱えていた。
昨日の新宿BLAZEでの公演(とくに昼公演)、観客の入りは「悪い」と言ってもいいものだった。
一見ぎゅうぎゅうではあるものの、それは女性限定エリアと取材スペースをかなり広くとっていたからで、キャパ800の会場に400人居たのかどうか? ツアーの肝心の東京公演がこの入りでは、武道館なんてとてもとても…と、思ってしまった。
もっとも、アプガは先月末から連日のリリイベラッシュが続き、今回のツアー*1が始まる前には柏でのプレ公演もあったし、この前日には仙台(=仙石みなみ凱旋)公演があったばかり。
今回のツアーにはその仙台のほかに、長野(関根梓)、高崎(新井愛瞳)という凱旋公演も含まれているので、財布と相談して、もしくは遠征にはいい季節になってきたし…、ということでそちらを優先した人もいるだろうし、アイドルネッサンス大森靖子BELLRING少女ハートとのそれぞれ魅力的な2マンもあったりしたので、今回の東京公演は回避した人も多かったように思われる。
但し、広くスペースをとった女性限定エリアは満員で、このあたりに新規ファン拡大のヒントがあるように思われた。
これは元メロン記念日大谷雅恵が話していた実例であるが、対バンイベントなどで若いアイドルのコと一緒になると「メロン記念日好きでした」「ライブ行きたかった」と言ってくれる。
しかし、「来てくれたらよかったのに」と言うと「まだ小学生だったんです」「中学生だったんです」という答えで「あー…」となる、と。
確かに筆者の記憶でも、メロン記念日はホールコンの時は小さい子を連れた親子連れも来ていたし、中学生くらいの男女それぞれの集団も居たりしたが、ライブハウス中心になってくるとそういう層の観客は居なくなっていた。
アプガにしてもそうで、TFMホールでの定期公演ではちょいちょい親子連れなんかも見かけていたが、ライブハウスではほとんど見ない。


そこで、武道館を目指す過程として、ホールコンを挟んだらどうだろう?と思っていた。
確かにアプガのライブハウスでのライブは楽しい。
ただ、新規を開拓するにはホールでのライブを時々は入れないとダメなのではないか。
メンバーが常々、
「ホールでも工場でも神社でも、どこでもライブハウスにしてみせる!」
と言っているライブをホールで見せて、その観客をライブハウスに引っ張ってくる、という手もあるはず。
ハロプロでも「ナルチカ」が行われるようになった現在ではかつてほどではないが、ハロヲタにはライブハウスなら無条件で回避する層も居る。
実際に筆者、Twitterで「初めてライブハウスに行くんですが…」というハロヲタの高校生から質問を受けたことがあったが、その内容は「座席がないので荷物はどうすればいいのか」「この整理番号っていうのはこの順番に会場に入るのか」などという初歩的なことであった。
やはり、座席指定のあるホールに比べて、ライブハウスは不安なことが多いのであろう。
べつに中野サンプラザや日比谷野音クラスでなくともいい。首都圏なら神奈川・埼玉・千葉あたりの中規模のホールでのライブをやったらどうか。
例えば“仮想武道館”としてのよこすか芸術劇場(キャパ1800)なんかどうだろうか。


…などと思っていた。


Y田「このライブが終わるまで、ギリギリまで悩んでたんですが…」

佐藤綾乃Zeppツアーすら成功出来るかわからない不安でいっぱいなところに、こうやってまた大きな壁がのしかかってきて…」
 〃「すごく嬉しいんですけど、私も含めメンバーも、きっと決断してくださったボスも不安だらけだと思うんですよ。実際ここにいるファンの皆さんも、嬉しい気持ちはあると思うんですけど、果たして成功出来るのか?とか、埋まるのか?とか、たくさんの不安はあると思うんですけど…」

この日のこの客の入りでは悩んだり、不安を感じたりをせざるを得なかったのではないかとも思われる。



しかし、武道館発表後にTwitterを漁ってみると、
「アプガの単独観たことないけど武道館なら行きたい」
というツイートも相当数あって、「やはり座席指定の方がいいのだろうな」という思いと「中途半端なホールコンよりも武道館のような記念碑的な公演の方が効果的なのかな?」という自分の浅はかな考えを改めさせられ、「Y田氏の決断は正しかったかな?」という思いもあって、いろいろと複雑である。
もちろん、「今日がアプガ初現場でした」なんて方も居て、それはそれはいいライブを観られて良かったと思ったものである。
確かにこの日のライブは観ていてとても気持ちのいいライブであった。メンバーのパフォーマンスもよく(関根梓はアンコールのMC部分で一時退出したり、そのあとの握手会を欠席したので体調万全ではなかったようであるが)、ネットニュースなどでは武道館決定後の発言の方が注目されがちであるが、それ以前のMCでの言葉もひとつひとつが気持ちのこもったもので、Y田氏の言う「みんなのライブに打ち込む姿」というのは大いに自画自賛していいくらいのものであった。
パフォーマンス的には充分武道館を射程距離にしていい、むしろ観客の入りがよくなかったのが残念なくらいのものであった。


中野サンプラザ公演後、アプガのメンバーは「武道館」という言葉を口にすることが日に日に多くなっていった。
それは例えばアンジュルム、例えばでんぱ組.incのように「“一緒に夢語ってた子が 輝いてる”あの場所に私たちも立ちたい」ということだった。
しかし、アプガにとって日本武道館は、かつての目標であった横浜BLITZ中野サンプラザに比べて、メンバーとヲタとが共有出来る思い入れが薄い、という意見もある。
確かに、ハロプロをクビになったアプガのメンバーが、「ハロプロエッグとして最後の新人公演を行った場所」(横浜BLITZ)や、「ハロプロの聖地」(中野サンプラザ)に、「この7人で帰る」というストーリーに比べればそのドラマ性は希薄かもしれない。
ハロプロエッグ出身なら、かつてハロコンが行われた横浜アリーナさいたまスーパーアリーナ代々木第一体育館の方が関係性は濃いかもしれず、とくにメンバー中二人(仙石みなみ佐保明梨)は音楽ガッタスしゅごキャラ!エッグのメンバーとしてそのメインステージでパフォーマンスしたこともあるくらいなので、武道館よりもむしろもう一度あの場所を目指して欲しいという思いもある。



ただ個人的に筆者の場合は、

        ↓

    • アリーナ後方の席だったので後ろを見上げるとすぐ上の二階席にアプガ勢が居た

        ↓

    • 「お、今度観に行ってみようかな…」

        ↓

    • 現在に至る

…というヲタ歴であるので、
「あの日、後ろの方で先輩たちのステージを見つめていた彼女たちが、あのステージに立つんだ!」
ということで、自分の中ではストーリーが成立しているのであるが…。


Y田「ただ皆さんお分かりの通り、アップアップガールズ(仮)にとっては遠い、遠い会場だと思ってます。でもアップアップガールズ(仮)が新しいステップを踏むには、ここでホントに十歩前に進むことが出来るのか?、途中落とし穴があるかしれませんが、前に進むしかないと思いまして、今日決心しました」
 〃「そういうわけで皆さん、11月8日まで、その先も、応援のほど、なにとぞよろしくお願いいたします」

佐藤綾乃「たくさんの不安はあると思うんですけど、でも私たち、もう下を向かないって決めたし、前に向かって日本武道館まで突き進むって、この7人で進むって決めたので、どんなことが待ち受けてようと、私たちなりのスタイルで日本武道館公演を絶対成功させていきたいと思いますので…」
 〃「きっと11月8日なんてあっという間に来てしまうと思うんですけど、でも私たち、さらにこの先進化していきたいと思いますので、皆さん日本武道館、よかったらぜひ来てください! よろしくお願いします!」

 
 

*1:アップアップガールズ(仮)ライブハウスツアー2016 “The Seven LIVE Alien”』

*2:『ドリーム モーニング娘。スペシャルLIVE 2012 日本武道館〜第一章 終幕「勇者タチ、集合セョ」〜』、2012年3月10日。