『新説!?日本ミステリーＳＰ』（10/14テレビ東京）
【出演】村上弘明、細川茂樹、中田有紀
【声の出演】松方弘樹、ゴルゴ松本
大化の改新はなかった!?／本能寺の変の真相！信長を殺したのはイエズス会だった!?／徳川家康は春日局に暗殺されていた!?／かぐや姫は宇宙人だった!?／沖縄海底ピラミッド王国を暴く！
相変わらずツメが甘いんだよなぁ、この番組…。
せっかく、おお、そういう説もあるのか！…という気持ちで観ていても、
「え〜、それだけ〜？」
くらいの根拠を示したのみで話が終わってしまう。
例えば「信長を殺したのはイエズス会だった!?」。
主たる根拠は、
1)自らが神を超える存在になろうとした信長を、イエズス会の宣教師たちは許せなかった。
2)明智光秀軍は本能寺の変に間に合っていない可能性がある（光秀軍が出発した亀山城から本能寺までは七時間では着くはずがない）。
―というもの。
試しにスタッフが甲冑姿で歩いてみるのだが、結果は不可能。しかし、甲冑を着なれた当時の人と現代人を比べるのは無理がある。大体、舗装された道をわらじで歩いたら、そりゃ無理だろう(笑)
大体―、
じゃあ、明智軍は何故京都に向かったんだ？
なんで光秀は豊臣秀吉に討たれなければならなかったんだ？
仮に説通り、イエズス会が信長を暗殺したとして、じゃあなんで後にキリスト教布教を禁止したり弾圧した豊臣秀吉や徳川家康を暗殺しなかったんだ？（信長は布教自体は禁じていない）
その辺のことをきちんと説明してくれないと…。
そういう諸説、奇説、嫌いではないのに、信じさせてはくれない。
結局のところ、登場して来る研究家諸氏は、
「〜だと思います」
と、推量を語っているのに過ぎないのに、
ナレーションは、
「やはり、〜だった！」
と断定する、という素人にもわかりやすい飛躍の仕方。
それを受けて、出演者が、
「教科書よりもこちらの方が本当っぽいですねぇ」
などとコメントする。
細川茂樹氏ほどの人物が、この程度のことで納得するとは思えず、コメントの部分にも台本があるのだろうな、と改めて再確認した次第。
ちなみに、番組内テロップ。
『現在のイエズス会とは関係ありません。』
筆者の友人には、イエズス会の信者がいるが、彼はかつて、教師でもあるイエズス会のスペイン人神父に、
「当時のイエズス会には、日本を侵略する意図はあったのか？」
という質問をした。
すると、その神父殿は、
「これは個人的見解だが…」
と、前置きした上で、
「あったと思う」
と、答えたらしい。
「しかし、当初でその意図はなくなったと思う。なぜなら、日本には、戦闘のプロフェッショナルである多くの武士たちがいるし、これをいちいち倒していくのは容易ではない。当時の交通事情を考えても、本国から大軍を連れて来るわけにもいかない。だから、布教の方が大切になった」
なるほど…。
なお、この番組の特徴として、レポーターに芸能人を使う予算的余裕がない為か、話題となる地方のミスを連れて来て、レポーターを務めさせている。
これなどは、なかなかいいアイデアだと思うんだけど。
番組の内容の方もどうかひとつ…。
