南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

丹沢日帰り記・2

2008年10月30日、丹沢日帰り記、つづき―。







結局、三ノ塔山頂に二時間ほども居た。
余り人も来ず、山頂を独り占め状態。




13:30出発。
初体験の三ノ塔尾根を下る。


三ノ塔尾根は三ノ塔と大倉(県立秦野戸川公園)を結んでいる。
ガイドブックによっては「難路」となっていたり、「整備されている」とあったりまちまち。
この道が使えると、大倉は小田急渋沢駅とのアクセスがいい(バスで10分ほど)から、丹沢登山の幅が拡がる。


林の中、人一人やっと通れるほどの狭い溝のような道を行く。
やがて道が広がり、階段状になった。
 
 



階段の高さがほどよくされていて、下りやすい。これは登りでも同じだろう。


しばらく下ると、道が少し荒れてきた。
しかし、道に迷いそうにはない。
やがて再び、階段状になる。


林の中、切株が「まぁ座れ」と誘うので休憩。


前からも後ろからも誰も来ない。
 
 



一時間半ほど下ると、
『三ノ塔まであと1.2km』の看板があった。
ここで初めて登って来る人に会った。
初老の男性。
「林道の方から上がって来たんですが、もう半分くらいでしょうか?」
と、尋ねられたのだが、なにぶんこちらも初めての道なので、ちょっとわからない。
しかし、何か少しでも情報を伝えなければ、と思い、
「上の方に行くと、道が良くなりますよ」
とだけ答えた。
「そうですか。ありがとうございます」


道は少しなだらかになり、右手には鉄条網が。
植物を守る為の鹿よけだ。
以前、丹沢に詳しい人に、
「鹿を減らそうとすると動物愛護団体が、植物を守らないと自然保護団体が文句を言う」
と、聞いたことがある。
そういえば、増え過ぎて餌を食べ尽くしてしまったのか、丹沢では鹿の餓死が増えたらしい。
これも山の現実―。


やがてまた、別の人と出会った。
もう、15:00過ぎ。
この時間から登り始めて、帰りは暗くならないだろうか?…と少し心配になる。
それとも、どこかの山小屋に泊まるのだろうか…。


林道に出た。
ここが牛首というところらしい。
 
 



ここから道は、林道と登山道に分かれる。
ちょっと山道に飽きて来たので、林道をまっすぐ下った。


秦野市街が見える。
 
 



やがて、登山道の方の入口に着いた。
 
 



林道をさらに下る。
すぐに戸川公園に入るのかと思ったが、なかなか着かない。
なるほど、この道を登るとすると、若干登山道入口が遠いわけか。
ただ、ヤビツ峠でも登山道に入るのはこんなもんだろう…。


県立秦野戸川公園に入った。
シンボルの「風の吊り橋」が見えてきた。
 
 



市街からいちばん近くで自然に触れ合える場所。
ちと人工的だが、手っ取り早く自然に接するならこれでいいのだろう…と思っていたら、向こうから、初老の夫婦がやって来た。
ついつい山のくせで、「こんにちは…」と、挨拶しそうになる。
だが、ぷいと顔を背けられた。


「ここはもう、山の中ではない」


そう言われたようだ。
やがて、夫婦は一つのカメラでお互いの写真を撮り始めた。
「撮ってあげましょうか?」
と、喉まで出かかったが、先ほど顔を背けられたこともあってやめた。
やはりここは、ホンモノの自然の中ではないのだ。
なんだか逆説的だが、人と人とが当たり前に助け合えるのが自然の中なのだ、と思った。




橋を渡って、秦野ビジターセンターの前に出る。
 
 



館内には丹沢について、山について、いろいろと展示があって面白い。
入ろうかとも思ったが、まもなく閉館時間(16:30)で、館員の方が少し片付け始めていたのでやめた。


この建物じたいは悪くない。
でもいつも思うのは、秦野市は、なんでここに風呂を造らないのか、もしくは何故鶴巻温泉行きのバスを出さないのか…?
実際に山から帰って来た者には物足りない。




結局、バスと電車を乗り継いで鶴巻温泉へ。
 
 



弘法の里湯。
入浴料二時間800円也。
http://www.kankou-hadano.org/hadano_point/point_koubounosatoyu.html


ここは、大きな浴室(サウナ・露天風呂つき)が二つあり、奇数日と偶数日で男湯と女湯が入れ代わる。


ちょうど筆者が湯舟に浸かっていた時―。


若いお母さんが服を着たまま、
「先に入ってなさい!」
と言いながら、すでに真っ裸になっている女児を連れて入って来た。
そして、湯舟の中の筆者と目が合った。
するとお母さんは、慌てて女児を抱き抱えて出て行った…。


常連の人の方が間違えやすいのかもしれない。




入浴後は、だだっ広い大広間で休憩。
生ビールがいただける。
地元・丹沢の大山豆腐で一杯♪
 
 





―丹沢日帰り記・おわり―