南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

『MELON KINEN-BI ROOFTOP YEARS:2007〜2010』ラストソロインタビュー・大谷雅恵編

内気ながら勝ち気、男勝りながら女性らしい反骨の人


ハロー!プロジェクトの中でも群を抜いて個性の強いグループとして異彩を放ったメロン記念日だが、その異彩さを担うキーパーソンが大谷雅恵であることは論を待たない。彩りも鮮やかなヘアスタイルに衣装、何事も臆することのない天真爛漫な言動、ブログにプライヴェートなノーメイク写真を連発する姿勢…それらは一見、ボーイッシュ担当の名に偽りのない奔放な佇まいにも思えるが、素顔の彼女はとても繊細でたおやかさのある愛くるしい女性である。乙女らしい資質の反動でボーイッシュという鎧を身にまとっているとも言える。メロン記念日としての活動に終止符を打った後、重い鎧を脱ぎ捨てた彼女が天性の美声を武器に歌を紡いでいくのが僕は本当に楽しみだ。男勝りでいて女性らしい彼女のようなパラドックスを孕んだヴォーカリストこそ、光と影、明と暗、虚と実、有と無、そして希望と絶望を等比に唄えるのだから。

■デビュー曲ではメインヴォーカル
つい最近、つんく♂さんからビデオレターを頂いて、『甘いあなたの味』がしっとりしているのは、私たちのリズム感のなさからだったことを初めて知った(笑)



■“髪型がよく変わる子”でいい
初めて金髪にしたのは『This is 運命』の時。
イメージが変わってしまうから、とマネージャーさんに「つんく♂さんの許しも得てください」と言われて相談した。
その後も髪型をどんどん変えたが、一度だけつんく♂さんに「イメージが定着しないままになってしまうから」と反対された。
でも“髪型のよく変わる子”として覚えられてもいいなと思った。



■『This is 運命』がターニングポイント
17歳で自分がどういう人間か判らないまま芸能界に入って、どうやって自分自身を出そうかな?と考えた時に歌を上手く唄うことが出来るんじゃないかと思った。
『電話待っています』までは歌を技術的に評価されたいという思いだったが、つんく♂さんに「大谷は上手さを追求してるけど、歌っていうのは心で唄わないとあかんぞ」と言われた。
『〜運命』で新堂敦士さんに「男になったつもりで」とか「ヘンな人になったつもりで唄え」とかいろいろな唄い方を指導されて、上手く唄わなきゃいけないって意識が取れた。


『愛だ!今すぐROCK ON!』のレコーディングで久しぶりに新堂さんにお会いして、「みんながどう変化したか楽しみにして来た」と言われて、でもあまり気負わずに唄ったら、「おお、みんな格好ええ!」「シブくなってる!って(笑)



■ソロ曲『6月のサンシャイン』
バラードが唄いたかったので、最初は(プロデューサーの)たいせいさんとぶつかったり泣いたりした。
今はたいせいさんに感謝している。自分の好きな曲ばかり唄っていても新しい自分は見つからないし、自分だけ満足するのも違う。
ライヴで独りで唄うのが心細かったので、事前にラジオやブログで「歌詞を覚えてきてね」って言ったら、ライヴで一緒に唄ってくれる人がいっぱいいて、泣きまくってしまい、おかげでちゃんと唄えなかった(笑)



■楽曲
メロンのおかげでさまざまなジャンルの曲を唄うことが出来た。
もともとバラードが好きで、カラオケではテレサ・テンさんや工藤静香さんの曲を。尊敬しているのはLyricoさん。


『つぐない』大谷雅恵(メロン記念日)


そうだったのに、意外にも自分にはロックが合っていた。
肺活量は、一度だけハロプロスポフェスの体力測定で一位に。
コーラスを任されることも多かったけど、それは凄く嬉しかった。



■曲作り
“ロック化計画”でバンドさんとレコーディングスタジオに入って、曲作りの楽しさを知った。
楽器が出来ないならパソコンでと思い、マック購入。
この先も自分がやりたいことなので買っておいて損はないぞと。*1
まだネットが繋がってないけど(笑)



■マラソン
苦手なことをしなければならない葛藤。
歌と関係ないじゃないか!?って。
でも4年も続いたのはメロンだからだろうし、ご縁があってのことだからと思って、挑戦出来た。
ファンの人が一緒に走ってくれたのも大きい。



■舞台
舞台は歌の次に好き。
団体行動が苦手なので役割分担が欲しい。
映画『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』でエルダーライヴを見たスタッフの方に「あの子を使いたい」と選んでもらい、嬉しかった。*2
撮影が楽しかったし、演技は続けたかった。
メロン記念日物語』の“大谷雅恵役”は今の私だからできる昔の私。



■メロンでの自分
人と違うことをしたがる性格なので、四人で話し合うと3対1の少数派になることが多かった。
そこをひとみんがいいところを救ってまとめてくれていた。


メロンはそれぞれが好き勝手にやっても、散らばるんじゃなくてちゃんとひとつになれてるのが面白い。
「担当」は覚えてもらうきっかけになるので良かった。
全然ボーイッシュじゃない時もあったけど(笑)


メロンはみんな優しくて、悩みの種類で相談する相手が変わる。
むらっちは優しく慰めてくれるお姉さん。
ひとみんはオールマイティになんでも相談にのってくれる。
あゆみんは嬉しいことがあると一緒になって喜んでくれる。


休みを挟んで久しぶりにメンバーに会うと恥ずかしいので、解散後に久々に会ったらどれだけ恥ずかしいことか(笑)



■10年間での変化
中学時代は内気だった。
今派手な格好をしているのは昔の反動だと思う。
高校に入る時に自分の人生を変えたろか!っていう最初のステップがあった。*3
今も自分がどういう人間なのかは判ってない。



■解散
自分たちで決められて良かった。会社から「そろそろお前たち…」って言われないかと冷や冷やした時期もあったし。
やっぱりコラボしてるのが楽しかったし、このまま行けばフェスに出られるかもしれない…まだまだ行けるんじゃないかという思いもあるにはあった。
でも、それよりも四人で10年やり切れたことの方が大きい。



■新たな夢
何年後かにまた四人で集まってライヴがしたい。
四人ともメロンを離れて、戻ってきた時にもっと面白い四人になってるんじゃないかと思う。



■ブログ
カウントダウンで毎日更新宣言したのは解散が決まっていたから。
プライベートもどんどん見てくれ!って方なので、更新しないことの方が苦しい。


実は最初はブログをやることに反対だった。
他の芸能人のブログを見て何が面白いんだろうな?って最初は思ってたので。
やってみると素直なコメントが返ってきて、文通してるみたいな感覚。ファンの人と触れ合える時間としてはブログが一番いい。
5月4日以降は個人のブログで。今はオブラートに包んでますから、これでも(笑)


ファンクラブのイベントでの1分トークの時に、抽選で私のファンじゃない人が当たってしまい、その人には私の夜型生活のことでお灸を据えられた(笑)
ちゃんと私のブログを読んでくれてるんだと思って、逆に感謝した。



ヲタもだち
メロンのファンは推し以外のメンバーのブログにコメントしたり、みんなでこの四人を持ち上げていこうぜ!っいう雰囲気が凄く頼もしい。



■ファンの気持ち
自分も好きなアーティストにのめりこんじゃうし、北海道にいた時に東京まで遠征したこともあるから大変さもよく判る。
みんな何かを犠牲にしてくれてるからその気持ちには応えたい。



■解散後
大好きなバラードを唄って聴いた人を癒せる歌手としての大谷雅恵になりたい。
その人にしかない声といい曲が合わさった時に衝撃を受ける。
声が良くて、歌も上手くて、何かを伝えようとしている人に憧れる。
歌だけで自分の思いを伝えることが出来たら、突然黒髪になって薄いメイクになるかもしれない(笑)
自分の嫌いなところがいっぱいあるけど、唯一好きなのは唄っている時の自分。
この10年はずっと自分探しをしてきたんだと思う。


「メロンとしては5月3日までカッチリやるだけですね。個人としてはそれまでに何とかもうちょっと痩せたいですけど(笑)。あ、その前にまずパソコンを開通させないと(笑)」
 
 

*1:一応、作曲作品としては、舞台『かば3』の劇中歌『ヒポポタマスに花束を』がある。作詞:太田善也

*2:主演・松浦亜弥の前任の特命刑事役。大谷「渋谷でイナバウアー」。

*3:この話は2007年夏のハロコンDVD収録時のMCにて本人から語られている。「今の大谷雅恵があるのもその時『変わらなきゃ!』と決心したおかげ」→矢口真里「いいお話ですね。それでは唄っていただきましょう!『変わらなくっちゃ!』」→大谷「チャーンチャチャチャチャチャチャ…♪かーわーらな…、唄えるかーい!」の流れ。