南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

『よみがえる大河ドラマ〜デジタルリマスター版 初期10作品〜』

GW期間中、その以前に録りだめしていた『よみがえる大河ドラマ〜デジタルリマスター版 初期10作品〜』(BSプレミアム)を鑑賞。
当時放送用VTRテープが高価だったので、NHKといえども使い回しせねばならなかった為に、わずかな映像しか残っていない作品の数々。
第一作『花の生涯』(1963年)は第1話のみ、第ニ作『赤穂浪士』(1964年)は第47話「討入り」、第三作『太閤記』(1965年)は第42話「本能寺」のみしか残っておらず、第9作『春の坂道』(1971年)に至ってはモノクロ映像の最終回のみ。*1
他の作品も多くは総集編のみしか残っていない。


花の生涯』は映画スターであった故・佐田啓二氏のテレビ初出演作であり、時代劇初出演作品。
この放送のゲストは長男である中井貴一氏で、観終わったあとは子息でなければわからない父の演技の癖などを語られており、たいへん貴重な放送となった。
第10作『新・平家物語』(1972年)では、前後に主演・平清盛役:仲代達矢氏と、来年の大河『平清盛』の主演に決まっている松山ケンイチ氏との対談が入っており、これまた貴重。



強く印象に残ったのは、第8作『樅の木は残った』(1970年)である。
江戸時代初期の仙台藩伊達家の御家騒動伊達騒動”を描いた作品(原作:山本周五郎)で、御家乗っ取りを企む伊達兵部(宗勝)(演:佐藤慶)の手先として、通常悪役とされる原田甲斐(宗輔)(演:平幹二朗)を、幕府大老・酒井雅楽頭(忠清)(演:北大路欣也)による大藩取り潰しの陰謀から御家を守ろうとした忠臣として描いた作品。
全編に渡って緊張感が漂っていて、放送当時にも「暗い」という評価だったらしい。
近年の明るい大河ドラマとは一線を画する作品(最近の明るい作品は、あれはあれでいいと思うが)。
また、舞台となった地方でロケを行うなど、現在にもつながる、いわゆるご当地作品の先駆けとなった作品でもあり、原田甲斐の居城のあった宮城県柴田郡柴田町仙台市の南)にてロケが行われた。
この作品も現在NHKに残っているのは総集編のみで、本編はないとされていた。
しかし、この柴田町に当時、地元の放送機器メーカーから放送を記念して寄贈されたビデオデッキがあり、町の職員が録画したものがあったのだという。
ビデオデッキといっても当時貴重品の1/2インチ幅*2のオープンリールの機種であり、このビデオデッキで録画された全52話中の51話分のVTRテープが今年の2月に発見されたのだという。
柴田町も今回の東日本大震災にみまわれた。
しかし、発見されたのが今年の2月で、すぐにNHKに届けれた為に、無事だったのだという。
一部放送されたが、当時の機種であるからモノクロの映像であり、テープも劣化していたが、現在修復作業中とのこと。
現在の技術であれば、もしかするとカラー化も可能かもしれない。
今後に期待したい。
 
 

*1:春の坂道』は長らく映像が残っていないとされていたが、家庭用のビデオデッキによるモノクロ映像が発見、NHKに寄贈されている。

*2:その後のVHSと同じサイズ。