南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

映画『ラグビー野郎』前編


ラグビー野郎 : 作品情報 - 映画.com

概要

1976年 東映東映チャンネル 初回放送 2019年9月9日)
監督■清水彰 脚本■鳥居元宏・野波静雄
【出演】
矢吹二朗矢吹二朗 江口文子■いけだももこ 秋月雄平■谷隼人 山路久子■川崎あかね 大石建■南条弘二 金光満■岸部シロー岸部四郎) 平沼■伊吹新吾(伊吹剛) 熊田大五■山本麟一 久保勉■福本清三 水野真弓■小泉洋子 相馬■誠直也 秋月の妻■奈三恭子 矢吹の父■疋田泰盛 レフェリー■高岩淡 大館力男■千葉真一


あらすじ・前編


関西大学ラグビーリーグ・洛西大対東南学院大の一戦は大差で東南大が勝利し優勝。敗れた洛西大の坂上監督は辞任し、新監督に日本代表を引退した秋月(谷隼人)が就任、新キャプテンに平沼(伊吹新吾。現・伊吹剛)を指名する。OBの熊田(山本麟一)らをコーチ役にその日から猛練習が開始された。レギュラー入りを狙う大石(南条弘二)ら二軍選手たち、その中には高校日本代表だった矢吹(矢吹二朗)も居た。
学生金融をやっている金光(岸部シロー。現・岸部四郎)が、下宿代を浮かせようと合宿所にもぐりこむために入部してくるが、一晩で逃げ出すことになる。

ある朝ランニングしていた矢吹は、同じ大学のテニス部の江口文子(いけだももこ)を見かけて一目惚れしてしまう。
矢吹は練習中にわざとボールをテニス部のほうに転がして文子に話しかけ、デートに誘うことに成功するが、スポーツ選手好きの山路久子(川崎あかね)を連れた東南大の相馬(誠直也)に挑発される。

八月の菅平合宿では、あまりの激しい練習に平沼をはじめ部員たちは反抗するが、秋月の熱意に心を打たれて猛練習を再開。
東南大との練習試合にウィングに起用された矢吹だったが、個人プレーに走り、対面の相馬にもあしらわれて敗退。試合後、熊田に殴られた矢吹は合宿所から逃げ出し、久子のもとに転がり込む。

平沼にラグビー部を除名されたことを告げられ、久子はこれまでにも有望なスポーツ選手をダメにしてきた女であることを教えられる。大石には部に戻るように説得されるが、矢吹は断る。
(「あらすじ・後編」は結末まで含まれているので後述)


雑記


この映画、存在は知っていて、観たかった作品なのだが、ソフト化もされていない様子で半ば諦めていた。
それが、ラグビーワールドカップのおかげで東映チャンネルさんがどこかの倉庫から引っ張り出して(?)きてくれた。テレビ初放送とのこと。
製作されたのは大学ラグビーが爆発的な人気となる前夜の時期といったところだろうか(「貴公子」と呼ばれて女性客増大に貢献した本城和彦選手の早稲田大学入学が1979年)。
ストーリー的には、挫折があって再起があって、猛練習があって必殺の作戦があって…という、よくあるスポーツものといった印象だが、鉄板なので観ていて飽きることはない。
サイドストーリー的にキャプテンが次第に成長してチームをまとめていく過程や、二軍からレギュラーに這い上がっていく大石のエピソードが入っているのがいい。

ラグビーの試合シーンは本格的で迫力がある。
出演者のクレジットに「全国応募ラグビー野郎」というのが30人ほど含まれている。当時募集して、これらの人々が試合シーンの軸になったのだろう。
テレビドラマ『ノーサイド・ゲーム』でもそうだったが、ラグビーは危険が伴うスポーツなので試合シーンは経験者に頼るのがいい。
ちなみにこの頃はトライがまだ4点の時代である(現在のように5点になったのは1993年から)。


監督は清水彰氏。
同姓同名の俳優が居てややこしい。
仁義なき戦い』などの助監督を務めたあと、1974年の『学生やくざ』というのが初監督で、この作品が二作目のよう。
しかし、その後は『真田幸村の謀略』『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』等でまた助監督に戻っている。




――つづけ――