鹿の湯
山麓に降りると、そこは人と車の行列。
「シルバーウィークに那須」というのは我々が考えた以上に世の人々にとって“もってこい”だったらしい。
駐車場が2時間待ちだという。
渋滞で遅れたバスに乗って那須湯本へ。
今回もうひとつの目的地が、この湯本にある鹿の湯であった。
この湯の発見は舒明天皇の時期(西暦629〜641年)だというから、飛鳥時代である。
舒明天皇というのは推古天皇の次の天皇(聖徳太子の死が622年)で、天智天皇(中大兄皇子)の父であり、つまり、まだ大化の改新(645)前である。
狩野三郎行広なる人物が射損じた鹿を追ったところ、傷ついた鹿がこの湯で癒していたことから発見された、とされる。
建物は明治期、玄関は大正期の建造。
入浴料400円也。
中は5〜6人が浸かれる浴槽がいくつもあり、それぞれ41度から42、43、44、…48度までに設定されている。
山で日焼けしていたこともあってか、我々は44度で音をあげた。
落語通の副長がひとことふたこと。
『湯が噛みついてくるようだねぇ』
『動くんじゃないよ!』
うん、まさにそんな感じ(笑)
硫黄分を多く含んだ酸性のなので、指にちょっとしたささくれなどあると染み付いて痛い(笑)
白濁した湯は身体がヌルヌルした感じになるが、湯上がりは肌がスベスベ。
翌日になっても身体が硫黄臭かったが。