南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

『恋するハローキティ』

遅ればせながら、先日BS-TBSにて放送されたのを録画してあった『恋するハローキティ』を視聴。




休日だったこともあって、なんとなくダラーっとした感じで観始めたものの、途中からは文字通り姿勢を正して、真剣に観てしまった(笑)


王道というか、ストレート。
それでいて豪速球。
共演・橋本淳氏(ユウヤ役)が、
「題名はポップだが骨太な恋愛作品」*1
と、表現していた通り。
人間の男性を好きになった女性の人形が…という設定は、人形を“魚”に置き換えれば『崖の上のポニョ』に通じる世界。
また、こういう、別世界からやって来たヒロインが…という物語は『ミコトマネキン』がそうであったように、アイドルとの相性はいい。
しかし、『ポニョ』が好きになった男性に一途に進むというか、一面ではワガママと取られかねないのに対して、こちらは、好きな男性と“ご主人様”である女性との間で、愛情を取るか使命をとるかについて揺れ動く葛藤などが描かれている。
「届け、届け…」など、効果的に使われているセリフもいい。
そういう意味では『ポニョ』よりも一段上の脚本といえる。
(つぼふみ先生、お見事でした)


初舞台・初主演となった真野恵里菜殿は熱演。
予想以上の好演だったように思う。
かつてのハロプロでは演技をするというシュミレーションがあまりなかったこともあるだろうが、モーニング娘。初主演舞台『LOVEセンチュリー』あたりと比べても遥かに上である。
スマイレージの四人も、舞台経験豊富な福田花音殿を筆頭に、ハロプロエッグの演技レッスンが機能していたことを証明している。


共演陣も、橋本氏の好演は終始目立っているし、クライマックスにて、坂田梨香子殿(アリサ役)の涙が綺麗に流れる場面には少なからず感動した。
特筆すべきは『猫目倶楽部』『UNO:R』など、空間ゼリーの演出家・深寅芥氏(先生役)。
ラストのダンスのキレの良さには驚いた(笑)


惜しむらくは、そのラストのダンス。歌が口パクであったこと。
ちょっと台無しにしてしまった感がある。



以上はすべて、映像を観ての感想。
なにぶん円形劇場(360度客席)だけに、実際に劇場で観た場合、席によって印象がかなり変わるかと思う。
シアターグリーンや赤坂レッドシアターでも席によって印象が変わる(必ずしも前の席がいいとは限らない)ので、円形ならば尚更かと思う。
例えていうなら、横浜アリーナでのハロコンだろうか?


スタッフは、
舞台監督:小野八着
(『かば3』『ミコトマネキン』『サンクユーベリーベリー』)
照明:関口裕二
(『東京アリス』『サンクユーベリーベリー』)
音響:百合山真人
(『かば2』『東京アリス』)
…の各氏と、ハロプロ関連舞台の常連。
とくに『おじぎ』シリーズや『携帯小説家』とはまったく同じトリオ。



ともあれ、タイトルやらフライヤーやらDVDパッケージやらに比べて、ずっと“骨太”の作品であることは確かである。
 
 


『恋するハローキティ
日時:2009年11月11日(水)〜11月19日(木)
会場:青山円形劇場

http://www.gekidan-online.com/news/87.php

■キャスト
ハローキティ/晴尾キティ:真野恵里菜
ユウヤ:橋本淳
アリサ:坂田梨香子
ブリキのロボット/ミノリ:和田彩花スマイレージ
おもちゃの兵隊/ルルカ:前田憂佳スマイレージ
シンバルの猿/わかな:福田花音スマイレージ
お風呂のアヒル/スミレ:小川紗季スマイレージ
榎本先生:深寅芥(空間ゼリー
ナレーション:林原めぐみ



■スタッフ
脚本:坪田文空間ゼリー
音楽:遠藤浩二
舞台監督:小野八着
演出助手:深寅芥(空間ゼリー
舞台デザイン:古川雅之
美術:吉田健二、鈴木浩二
照明:関口裕二
音響:百合山真人
ステージング:鈴木晶子
制作:佐々木淳子
プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ(TBS)
演出:武藤淳(TBS)