南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

映画『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』中編


映画『LOCO DD 日本全国どこでもアイドル』公式サイト


『Last DAYS〜君といた場所〜』


主演:オトメ☆コーポレーション 監督:田中要次
オトメ☆コーポレーション オフィシャルweb
問題のオトメ☆コーポレーション編である。
監督は俳優にして、映像作家でもある田中要次氏。
長野出身の田中監督、島田元監督がこの作品に誘ったところ、長野のアイドルを取り上げたいとのことで白羽の矢が立ったのがオトメ☆コーポレーションだったという。
ドラマ部分は『世にも奇妙な物語』風。
楽屋で“代表取締役”(=リーダー*1 )の久保田光以外のメンバー(比留川知絵・藤本美帆・荒井菜緒)が衣装に着替えて待機している。そこへ久保田がやってくる。

「おはよう、下のお店で美味しそうなのあったんで買ってきた♪」
と、袋をテーブルに置いて更衣室へ入る。
ところがしばらくするとまた久保田が「おはよう」と入って来る。他のメンバーは「???」。
「下のお店で美味しそうなのあったんで買ってきた♪」
テーブルの上の同じ袋を見て、
「あれ? 誰か買ってた? かぶった?」と、袋を置いて更衣室へ入る。
しばらくするとまた久保田が「おはよう」と入って来て…。
そして着替えを終えた久保田が更衣室から出て来ると、他のメンバーとは違う衣装。
メンバーは「衣装違うよ!」と指摘するが、気づくといつの間にか彼女たちも久保田と同じ衣装を着ていて…「???」。
一方、楽屋のテーブルの下には前もって忍び込んでいたのか、“株主”(=ヲタ)が一人隠れている。


さてこれ、どう結末に持っていくんだろ?
…と思っていたら、ここまで撮ったところで、オトメ☆コーポレーションの“全員退社”(=解散)が決まってしまい、製作が一時中断、結末を撮らずに終わったのだという。


このオトメ☆コーポレーションの“全員退社”の経緯については、以前にも当該ブログにて触れた。
「全国ツアー(全7会場8公演)で観客総動員1000人を達成した場合は大箱でのワンマンライブ開催&全国流通CD発売、達成出来なかった場合は全員退社」というチャレンジが行われたが不達成。それもツアー途中で最終公演を満員にしても達成出来ないことがわかる、という結果(総動員712人)。
こういう企画の場合、最後に一発逆転が可能なように大箱を用意しておくのが普通だと思うが、それをやらなかった運営は初めからやる気がなかったのか(そう思われても仕方ないであろう)、また映画の製作途中で解散するというのも妙な話だ(不義理ともいえる)。
ひょっとしたら映画の話題作りのためにそういうことをしたのか?とも思ったが、映画の中で田中要次監督がたいそう残念がっているのをみれば、そうではないということがわかる。


というわけで、後半のドキュメント部分は田中監督と久保田光のドライブデート風のインタビュー。

久保田からは、解散に至る経緯やその時その時考えていたこと(ハードルの高いことに挑戦することや、達成出来なかった悔しさ)。他のメンバーへの思いが語られていく。
田中監督は「他にやり方があったのではないか?」とも漏らす。
トークショーで島田監督が、
「田中さん、まるで失恋したかのように…(笑)」
と言っていたが、確かに、別れ話をしているカップルに見えないこともない。
男はまだ未練がある。女はこれからの新しい道を模索しようとしている*2


最後は解散ライブの時の映像(2016年8月28日、新宿ReNY)。筆者はその場に居たわけであるが、この時にこの映画が製作中であることが発表された。


メインとなるのは、“残業”(=アンコール)で歌われた『DAYS〜君といる場所〜合唱ver.』

田中監督は仕事があってこの日会場に行けず、代わりに島田・大工原両監督が行って撮影を代行したらしい。その際田中監督より、
「『DAYS〜君といる場所〜』という曲が意味を持つと思うので、そのライブシーンを撮ってほしい」
との指示があったとのことであった。
タイトルの『Last DAYS〜君といた場所〜』 は、もちろんこの曲から取られている。





――つづけ――
 
 

*1:オトメ☆コーポレーションは「オトメ☆コーポレーション」という企業に務めている会社員、という設定。

*2:オトメ☆コーポレーションはメンバーが久保田光一人だった時期があり、久保田は再びソロ歌手として再出発しようとしていた。