南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

人生派ユニット

今回のセットリストを眺めて見ると、改めて太陽とシスコムーンの曲のカバーの多さに驚く。
松浦亜弥カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)ZYX℃-ute…。
ライブでしばしば太陽とシスコムーンの曲を歌うメロン記念日を含めると、太シスの曲がいかに愛されているかがわかる。

「改めて痛感したのは、太陽とシスコムーンT&Cボンバーの楽曲が凄まじくクオリティが高いことなんですよね。だからこそ今もこうしてハロー!プロジェクトの面々に唄い継がれているんでしょうし」(『Rooftop』4月号の椎名宗之編集長の発言)

http://rooftop.seesaa.net/article/116530458.html


最近だと℃-uteによる『ENDLESS LOVE〜I Love You More〜』『YES!しあわせ』が記憶に新しい。
しかし、例えば℃-uteは、決して太陽とシスコムーンにはなれないだろう(ならなくてもべつにいいと思う)。
なんというか、出発点というか、バックボーンというか、土壌が違い過ぎるのである。


「オリンピック代表→ユニバーシアード銅メダリスト→フリーター→ファイヤーガールズ(トンボちゃん♪by長嶋茂雄)」
大阪パフォーマンスドール→自然消滅→歯科衛生士資格取得」
「民謡小湊流家元、二児の母」
…という経歴。


単なる「苦労人」などと言う言葉では言い表せない(また、言い表したくもない)、人生経験が彼女らの歌やダンスの根源になっている。
そういうことを、今回のライブを観て痛感させられた。
それは10代前半からアイドル、もしくはアイドル候補であった者たちではとても太刀打ち出来ない“何か”を持っている。
『エンドレス・ラブ』というフレーズひとつをとっても、10代の女のコではとても勝負にならない、ある種の重味を感じさせるのだ。


ブログ開設から始まって、徒手空拳でこのライブを実現させたバイタリティ。
初期モーニング娘。の5万枚手売りの例を持ち出すまでもなく、
そうだったんだよな、
ハロプロはそういうところだったはず、
だからハロプロは面白かったんだ…。


今後ハロプロから、太シスのメンバーよりも歌の上手い人、ダンスの上手い人は出て来るだろう(出て来なきゃウソだ)。
でも、そういう人たちをいくら集めても、太陽とシスコムーンにはならない。
今やハロプロはアイドルとしてのエリート、もしくはエリート候補の集団である(それはそれで素晴らしいので)。
そういう集団から第2、第3の太陽とシスコムーンが出てくるとは考えにくい。
むしろハロプロから脱落し、芸能界に再チャレンジしてくる者にこそ、可能性はあるかもしれない。
この点、かつて、
「ロックは人生」
「劣等生こそロックや」
と言っていたつんく♂Pがどう思っているかは大いに興味のあるところだが。


その点、今回のライブ、ハロプロ草創期に苦楽を共にした仲間たちが、このステージを見守っていたのはある意味象徴的だったといえる。


否、むしろ、UFA幹部は、現役のハロプロ勢にこそ、このライブを見せるべきではなかったか。
彼女たちが、
「いつかこういう自分たちで作り上げたライブをやってみたい」
と思っても、
「こういうことをしなくてもすむ自分たちは恵まれている」
と思っても、どちらでもプラスだったはず。


RuRu殿不参加は確かに残念だったが、
「充分なレッスン期間がとれないから――」
という彼女の理由には鳥肌が立ったのもまた事実。
おそらく無理をすれば、ライブ直前に日本に来ることは可能だったのであろう。
しかしそれは、彼女のプロ意識やプライドが許さなかったのだ。
「試合をする体力はまだあるが、練習する体力がなくなった」
という理由で引退した元ラグビー日本代表主将:森重隆選手のような…。


小湊「これで太陽とシスコムーンは一区切り」
本音をいえば、なにも毎年やってくれとは言わないが、二、三年に一回くらいは…とも思うが、定期的になっちゃうと今回のようなライブは観られないような気がしてならない。
だから、またやりたくなったらやってくれればいい。
その時がきっと彼女たちの“ベスト”の状態だと思うから。


今はただ、
久しぶりに“楽しい祭り”に参加出来た…、
そういう余韻に浸っている。