南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

『MELON KINEN-BI ROOFTOP YEARS:2007〜2010』ラストソロインタビュー・斉藤瞳編

グループを牽引し続けた艶やかな大和撫子の視座


露出度の高い煌びやかな衣装を身にまとうセクシー担当の斉藤瞳が実は奥ゆかしい大和撫子であることはよく知られているが、清楚で女性らしいしなやかさと共に、彼女は一切の妥協を許さずに自身の信念を貫き通す頑強さをも兼ね備えている。柔よく剛を制す姿勢の彼女だからこそ8年間にわたってリーダーとしてメロン記念日の屋台骨を支え、オンリーワンの面子が揃ったグループを取りまとめる辣腕振りを発揮することが出来たのだろう。このインタビューの中で解散後は芸能界からきっぱり引退すると潔く言い放っているのは一度決めたらテコでも動かない彼女らしい言動だと思うし、この先の人生でも愛猫メルと共に明るく健気に生きていくことだろう。市井の人になっても彼女が輝かしいメロン記念日のメンバーであった事実は変わらないし、彼女がメロン記念日で果たした功績を僕らは決して忘れない。太陽のように情熱的な彼女の第二の人生に乾杯だ。

■解散について
前から10周年がメンバーの目標であり、キーワードでもあった。
2月19日を節目にしたかった。
このままやっていくと良くなることもあるかもしれないが、最悪のことも想定しなくてはならない。
年齢的にも30歳手前で、人生を切り替えることも必要じゃないかと。
“ロック化計画”のおかげで10周年を四人でいい形で迎えられる安堵感もあった。


解散については、話を切り出したのは私。でも四人とも同じ思いだった。四人で決められたのは良かったと思うし、誇りに思っている。



■リーダーとして
むーちゃん(村田めぐみ)にかかる負担が大きく、彼女を押し潰している感があって、リーダーを代わることになった。


メロンはほぼ同年代で横一線のスタートなので、立場を分けることが成立しない。「リーダーという存在は必要なのか?」と思っていた。
いざという時に前に出ればいいのかな?と。要所で代表して話をまとめればいいと思った。
性格的に仕切り屋で、メンバー中唯一人見知りしないのが功を奏した気がする。


メンバーの悩みの相談にのる、というよりも“察している”というスタンス。
『香水』の時は悩んでいるあゆみ(柴田あゆみ)を敢えて放っておいた。自分の弱いところを見せたくない子だから。
一番手を焼いたのはまぁしぃ(大谷雅恵)。思ったことは言いたい、やりたいと思ったことはやらないと気が済まない性格なので、「一回待とうよ」みたいに話すことが多かった。
メンバーがガツガツしてないからリーダーが務まったと思う。
まぁしぃがぶっ飛んだ発言をする→斉柴の意見をどう融合させるか?→癒し系のむーちゃんが緩和剤となってくれた。
むーちゃんは裏リーダーだった。彼女は真面目なことを言わせるポジションには合ってなかったと思う。


後半は“ロック化計画”があり、外部との渉外役として、挨拶をする役として、リーダーの役割が明確になっていった。
この10年間で人との接し方について多くを学んだと思う。



■セクシー担当として
セクシーに関しては自分が好きなジャンルだったので全く悩まず。
むしろ『チャンス of LOVE』や『肉体は正直なEROS』のような全体的にセクシー寄りの曲の時に変な気合いが入った(笑)


「担当」はメンバーそれぞれ自分の役割を守り抜いたと思う。



■曲の路線
「メロンはロックだ」と言われるようになったのにロックっぽい曲が少なかった時期は残念だった。
ただ、いろいろとハマりきらない部分があったからこそ、逆にいい味が出たと思っている。
型にハマらないグループだったから良かったと思う。



■解散発表
2月19日までは解散を胸に秘めておく後ろめたさがあって「ゴメンね」と思っていた。
メロンが売れない時期に心の支えになったのはライヴだったから、それを支えてくれた人たちに対する複雑な思いを抱いていた。
解散発表後の大阪のライブでは、泣きそうな顔をしているスタッフも居てヤバかった。


ファンの人にお礼を言わずにステージを降りることにならなかったので、2月19日で終わりにしなくて良かったと思う。
ハロプロ卒業後もメロンは他のハロプロOGに比べて歌える場をたくさん与えられたのは幸せだった。



■出会えた人たちへ
ファンの方もスタッフさんもみんな私たちの宝物。
解散発表後もたくさんの人たちがメロンの最後をいい形で見届けようという気持ちになっていることに心から感謝したい。



■解散後
性格的にこの世界に向いてないと思うので、全く違うところに踏み込んでみようと思っている。
よく「一番合っている」と言われるが、自分ではそうは思わない。好きは好きなんだけど。
一番合っているのはまぁしぃだと思う。自分の唄いたいスタイルをしっかりと持っているから。
あっちゅ(稲葉貴子)の影響ではない。裏方の仕事も合っていないと思う。
もともと保母さんに憧れていたので、チャイルドマインダーという資格に興味がある。
他にも接客業や花屋とか和服を着た仕事とか、あれもやってみたいこれもやってみたいで、まだ今のところは決定打がない。



■今の仕事には未練がない
ネイルや美容院とかも必要経費だったので、今でも充分贅沢だったと思っている。
10年温室で守られてきて、外の世界へ出たら常識知らずの人間と思われるかもしれないが、ちゃんと働きに出てみたい。
10年後にまた四人でライヴというのは機会があれば、そして可能であれば。
山口百恵さんのように潔い生き方がしたい。
「私の芸能活動はメロン記念日一本でした」と言い切りたい。
もともとアイドルグループが好きで、自分が一人でステージに立つ姿も考えたことはなかった。


「これからもメルと共に生きていきます。あの子のご飯代だけはどうにか稼げるように頑張らないと(笑)」