南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

「アップアップガールズ(仮) 1st LIVE 代官山決戦(仮)」(9/2)・感想

セットリスト。
ハロー!系のライブであれば、ソロコーナーがあったり、3人や4人に分けて唄う曲があったりするわけであるが(まだソロ曲などなかったはずの2002年当時のメロン記念日初ライブでもソロコーナーがあった)、今回のライブは徹頭徹尾7人全員出ずっぱり。*1
また、カバーコーナーがあるのなら、昼夜で曲を変えてくるなんてこともあるわけだが、初披露曲を含めて新曲が多かったということもあって、それは無理だったのであろう。
ただ、
自己紹介的→夏の曲→カバーコーナー→アッパーチューン…
というふうに、セットリストじたいはよく練られたものだったのがわかる。


MC。
筆者が初単独ライブで印象的だったのはメロン記念日なのでどうしても比較してしまうが、あの時点でのメロンが台本通りのMCだったのに対して、さすがはハロプロエッグ時代からの蓄積があって、アドリブを含めてそつなくこなしていたように思う。
「台本を書くスタッフなど居ない」ということもあるのかもしれないが…。


楽曲。
いうまでもなく、アップアップガールズ(仮)は、つんく♂P以外の人がプロデュースしているグループである。
今回アンコールで初披露された『Dateline』に、その象徴的なものを感じた。
とくにそのサビ、「ちゃんとしなきゃ」の「ちゃんと」という言葉のセレクションである。
この曲、つんく♂P作詞ならばおそらく「しゃんとしなきゃ」であったろう。
この「ちゃんと」と「しゃんと」は、ほとんど意味が同じであるが、ニュアンス的な違いや、こういう場合には使うがこういう場合には使わないなど、その正確な区別は難しい。
西周辺が「しゃんと」で箱根以東が「ちゃんと」という…ともいうが、必ずしもそうとは限らないらしい。
ただ、関西出身の作詞家に「しゃんと」を使う例が多く見られ、代表的なものとしては槇原敬之氏による『世界に一つだけの花』(バケツの中誇らしげに しゃんと胸を張っている)が挙げられる。つんく♂P楽曲では、メロン記念日『ENDLESS YOUTH』(これから始まる物語は 夕焼け空にシャンとしてる)がある。
また、秋元康氏も、かつてプロデュースしていたNHK-BS『おーい、ニッポン』の「県のうた」シリーズにて、兵庫県の時にこの「しゃんと」と言う言葉に注目したらしく、完成した兵庫県の歌は『しゃんとせえ!』というタイトルであった。


また、この『Dateline』という曲は、明らかにアップアップガールズ(仮)の今までやこれからを指し示す歌詞になっている。
そういった意味でも、いやがうえにも『ENDLESS YOUTH』を想起させる曲である。
『Respect for メロン記念日』公演(7/15)でアップアップガールズ(仮)がその曲を唄うことについて賛否両論であった『ENDLESS YOUTH』であるが、『Dateline』を聴くと、そうか、メロン記念日における『ENDLESS YOUTH』のような曲が欲しかったんだな、ということがわかる。
だとすれば、あの公演での『ENDLESS YOUTH』は、「こういう曲が欲しい」というアピールだったり、こういう曲がやがて出来上がることをふまえての、この日のための一種の予行演習だったのではないか、という気もしてくるのである。



2nd単独ライブ。
キャパ600人から1000人規模へ。
今回は初単独ライブのご祝儀ということもあって、ハロヲタ援軍諸氏も多く参戦していた…と、思われる。だから次の六本木にて、真価が問われることになる。それにはもうひとつ、「アップアップガールズ(仮)を見つけてもらう」為の手が必要かな?とも思う。
ちなみに今回のフロア、他のハロー!系、とくにOGのライブ・イベントでお見かけする方々が結構居て、そういう方々がたいてい赤いTシャツを着ていたのが興味深かった。
実際、仙石みなみという人はガッタスとか舞台とかでOG勢との仕事が多かったので、OGのヲタにとっては例えば現役ハロー!勢よりもなじみ深い存在だったりするのかもしれない。


T-Palette Recordsへの参加。
実は筆者はさほど驚かなかった。どうせインディーズでやるなら、タワレコさん(嶺脇社長に)になんとかしてもらった方がいいんじゃないか?…なんて思ったこともあるので。
無理してメジャーになるよりずっといい。



一方で、反省点や今後の課題も垣間見えたライブでもあった。
夏のハードスケジュールの影響からか、声が出ていないメンバー。
とくに、関根梓殿。
昼公演はなんとかもった形だが、夜公演ではいつもの伸びやかな歌声は出ていなかった。
この夏、連日各地でライブ・イベントをこなし、知名度を上げ、集客数を増やそうとしたスタッフの狙いは正しいと思うし、それは一定の成果を上げていると思う。
しかし、それは諸刃の剣でもあるんだな…ということを痛感させられた。
ハロプロエッグ出身者として、同レベルのアイドルグループには真似の出来ないキャリアを持っている彼女たちであるが、まだまだ単独グループとしての経験、2時間クラスのライブ経験は浅い。
もちろん、上記の如くセットリストの事情で2時間(結果的には2時間半)7人とも出ずっぱり、さらにいろいろとサプライズがあったおかげで必要以上にワーキャー騒いでしまった…という側面もあるのであるが。
今後はスタッフサイドのより綿密な健康管理も必要かと思われる。
もう一人、声がかすれてしまっていたのが古川小夏殿。
となると、恒例となったライブ冒頭MCにおける長音絶叫が頭に浮かぶ。
「あれをやめたら?」というのは簡単であるが、しかし、せっかくの特技・個性、封印してしまうのはもったいない(彼女はハロー!の各ピンク担当の諸先輩たちと同じく、己のキャラ構築にはどん欲だ)。
Ustreamで配信された“反省会”にて、
「あの2時間で怖いものがなくなった」
と、前向きな発言をしていた彼女、今後のグレードアップに期待したい。



会場。
キャパ600、用意したチケット500枚完売とのことであったが、この会場の公式キャパシティには相当なる疑問符がつくと言わざるをえない。
比較するに、大谷雅恵殿がよく使っていた六本木のmorph-tokyo(キャパ250)よりほんのちょっと広い程度。
ここで500人、ましてや600人はいくらなんでも無理である。
しかもステージが低く、フロアもフラットなので、後方はメンバーの顔がやっと見られる程度(morphはステージが高いのでフロア最後尾でもステージ全部見える)。
ツインタワー(森・佐保)しか見られなかった…なんて人もおられたのではないか。
「アイドルグループで推しメンを作るなら、とりあえずいちばん背の高いコにしとけ。どんなに後ろでも見られるから」
なんてことを言ってた人も居たが、しかしまぁ、推しメンを選ぶ権利は誰にでもある。


音響。
終演後にアップアップガールズ(仮)の曲をかけるのはいいが、音量がデカ過ぎ。握手会の段取りを説明するアナウンスが聴こえないほど。
せめてアナウンスや握手会の時は多少音量を下げるとか、工夫出来んものか…と、握手会の最中、音をかけっぱなしにしたまま談笑している“だけ”の音響スタッフを見て思った。
結局、握手会の最中、ヲタに対応するために、メンバーも声を張らなければならなくなるのである。それもメンバーの声に悪影響を与えた側面もある…というのも言い過ぎではないだろう。



最後に。
このグループを見ていていつも思うのは、こう言っては失礼だが、いわばハロプロエッグの残り物を集めたグループであるのに、このバランスの良さはいったいなんなんだろう?…ということ。
ボケが居てツッコミが居て、ボーイッシュが居てギャル系が居て、妹キャラが居てお姉さんキャラが居て、饒舌なのがいて無口(だけどたまに喋るとものすごく面白い)なのが居て、大雑把なのが居て神経質なのが居て、身長の高低もあり、毒舌あり…。
誰かが意図的に集めたメンバーでもなく、大人の事情で作られたグループでもないのに、である。
エッグ時代からの長いつきあいがあるので…ということもあるだろうけど、なんだか運命を感じさせる7人なのだ。
メンバーの年齢(学年)が7人綺麗にちょうど1つずつ違う、というのもそれを象徴している。
この運命の七人の足軽ズが、やがては“七将星”となることを願って、見守っていきたいと思う。




――「アップアップガールズ(仮) 1st LIVE 代官山決戦(仮)」、了――
 
 

*1:この件については、『アフター代官山決戦(仮)』にて関根梓殿が指摘しており、今後の課題としていた。