南アルプス天然少年団

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通りすがりの傍観者の足跡。

BSプレミアム『英雄たちの選択 選』「謎の屏風が語りだす 〜復元推理 大坂冬の陣図屏風〜」(7/22)


www.nhk.jp
「大坂冬の陣図屏風」デジタル想定復元公式

【司会】磯田道史国際日本文化研究センター教授)、杉浦友紀(アナウンサー)
【出演】小和田哲男静岡大学名誉教授。大河ドラマおんな城主 直虎時代考証)、千田嘉博奈良大学教授・元学長。大河ドラマ真田丸』城郭考証)、平山優(歴史家、高校教諭。『真田丸時代考証
【語り】松重豊
最大の謎は豊臣家滅亡後に豊臣方優勢の場面を描く屏風が作られたこと。発注者は徳川の覇権に納得しない大名か?あるいは家康に反感を持つ徳川家の有力者か?人気の戦国史家たちが屏風の発注者を徹底推理。

謎の「大坂冬の陣図屏風」。
誰が描いたのか、誰が発注したのか? 専門家たちが推理する回の再放送(2019年8月14日放送)。
出演者は司会の磯田先生をはじめ、小和田、千田、平山の各先生と、まさに戦国オールスター。
ちょっと特殊な回で、磯田先生「今日は『学者たちの選択』になってます(笑)」

最大の謎、誰がこの屏風絵を発注したのか?
磯田先生によれば「予算は現代でいえば5000万円ほど。最低でも5万石以上の大名」とのこと。
絵の様子からわかるのは、
大坂城の内部構造が正確に描かれている
真田丸が詳しく描かれている(大河ドラマ真田丸』もこの屏風絵を参考にした)
徳川家康本陣よりも徳川秀忠本陣が大きく描かれている
伊達政宗軍の先鋒部隊が商人たちとなにやら揉めているのが描かれている
⑤蜂須賀軍が豊臣方に攻撃を受けているのが描かれている
以上のことから、
「合戦の際には徳川方に属していたが、豊臣家もしくは大坂城に思い入れがあり、真田丸に詳しく、伊達・蜂須賀となにか因縁のある5万石以上の大名」
というのが浮かび上がる。

番組は千田先生の諸説プレゼンで進行。

  • 真田信之説……信繁の兄。徳川家に睨まれるような屏風を発注するか?
  • 伊達政宗説……真田信繁の子を匿ったりしているが、商人と揉めている絵。
  • 徳川秀忠説……豊臣家にシンパシーはあったか?

いずれも条件に近い人物だが決定打はない。
このあと、平山先生が蜂須賀至鎮説を、磯田先生が千姫説を唱える。蜂須賀至鎮は高名な蜂須賀小六正勝の孫である。

  • 蜂須賀至鎮……豊臣家とは縁が深いが、負けている様子を描かせるか?

千姫説は面白かった。
磯田先生曰く、千姫は、豊臣家を滅ぼして夫の秀頼を死なせた祖父の家康にも父の秀忠にもブチギレていた。家康・秀忠は千姫をなだめようと化粧料10万石を与えた。千姫はその財力で…というもの。
結局、結論は出ずに謎のまま番組は終わるのだが…。


放送終了後の平山先生のツイート。


あ、これじゃないか?
これがいちばんしっくりくるような…。
浅野家は豊臣恩顧の大名で、当時紀州(現・和歌山県)を領していた。当時の当主は浅野長晟で豊臣五奉行の一人で秀吉の義弟にあたる長政の次男。兄の幸長が若くして亡くなったのでそのあとを継いだ。
長晟は少年時代大坂城で育ったとされる。
また真田丸真田信繁は冬の陣直前まで浅野領内の九度山にいたわけで、長晟としては真田丸には興味があったろう。
浅野家は平山先生のツイートにもある通り伊達家とは長政時代から犬猿の仲。
蜂須賀家とは夏の陣のときに浅野家が先鋒を任されたのに蜂須賀軍に抜け駆けされたという因縁もある。

今回名前が上がった中ではいちばん条件に合う人物のように感じるが、果たして…???