南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

役者の動き

『宇宙にタッチ』のDVDを観た感想。


舞台を観た時から気になっていたのが、二、三の役者の「動き」だった。
何かこう、しっくりいっていないのである。


舞台の演技、とくに学生演劇を初めとする小劇場の場合、セリフまわしの巧さであったり表情の作り方の巧さであったり…。
それはある程度の修練をこなすことによって出来るようになるものである。


ところが身体の動き。「立ち振る舞い」というか、「身のこなし」というか。これが難しい。
もともとスタイルがいい、など生まれ持った天性のものであったりもするわけだが。
ただバタバタ動くだけではスラップスティックにはならない。
体の中にひとつ重心というか、ある種の安定した部分がないと可笑しくならないし、変な動きをしても必ずしも面白いとは限らないのである。
少なくとも一点真面目な部分がないと、滑稽な部分が際立たないからであろう。


なおこれは、出演していたハロプロのメンバーのことを言っているのではない。
彼女らはかなりの量のダンスレッスンをこなしている為であろうか、「動き」に関しては、キャリアが上の役者たちと比べても問題なかった。


以前モーニング娘。宝塚歌劇団と組んで『リボンの騎士』をやった際に、これを観た宝塚ファンの意見を聞くことが出来たのだが、彼ら彼女たちが、演技や歌よりも「立ち振る舞い」ということをとても重視していることに驚かされた。


また、かなり以前のことになるが、欽ちゃんこと萩本欽一氏がチャップリンを評して、
チャップリンさんは身体の中にいくつもの点がある」
と言って、絶賛していた。
筆者はこの「点」というのが当時よくわからず、今となってもなんとなくわかる程度にしか過ぎず、うまく説明出来なくて申し訳ない限りなのだが。


とは言え、常人とは違う変な動きをする人物が舞台上に現れたりすると、それはそれで笑ってしまうのだが。
それともその役者には観客を快くさせる「点」というものが自然に備わっているのかもしれない。