南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

『メロン記念日 FINAL STAGE “MELON'S NOT DEAD”』終演後の点描

幕が下がると、いつものように、客席からは、
「メロン最高!」
コールが巻き起こった。
しかし、この日のコールは、いつまでも鳴り止まなかった。


有志企画者の皆さんは、会場出口付近に集まり、ゴミ袋を広げてサイリュウムの回収。
「ありがとうございました!」
筆者「お疲れさま…」
と言って外へ出る。


外へ出てみると、そこは普段のライブ後と変わらぬ中野サンプラザの光景――。



会場から出て来た人々も笑顔が目立ち、拍子抜けするほど悲壮感のようなものはとくに感じられない。
「じゃあ、また…」
と言って別れていく人たちも居た。
そうだな、「じゃあ、また」でいいんだな。




しかし、個人的に強く印象に残ったのは、以下の光景である。



ライブ中、筆者の席の近くに居たヲタさんたちはライブ終盤からステージを観ながら泣き出しており、うち一人は号泣といっていいほどの状態だった。
そして、幕が完全に下がり、視界からメロンのメンバーが消えた時、彼らはその場に崩れ落ちたのである。


だが、驚いたのは、そのあとだった。


崩れ落ちた彼らは、そのまま近隣のゴミを片付け始めたのである。
まるで、メロン記念日の旅立ちの場所を汚してはいけない、とでもいう風に。
それを見て、筆者の方が崩れ落ちそうになった。


泣いている彼らは、世間から、とくにアイドルなぞに思い入れのない層の人々から見たら、“バカな奴ら”なのかもしれない。
それに筆者の方が考え過ぎで、彼らはそういうことをいつもやっていて、その場に於いてもいつもやっていることを無造作にやっただけのことなのかもしれない。
だがしかし、筆者自身に置き換えて、いったいそういうことが出来るものだろうか?という思いが今も消えずにいる。
世間の誰が彼らを笑えるものかと、そんなことを考えながら、最後のメロン現場をあとにした。



「じゃあ、また…」




――つづけ――