南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

アイドルは日本を背負う

ちょうど「外国人から見た日本のアイドル」というテーマの番組を二つやっていたので、続けて観てみた。


『つながるGO!GO!』(6/3 J:COM

この日のゲストは、ハロプロアップフロント界隈ではおなじみの“ポップカルチャーの伝道師”こと、櫻井孝昌氏。
もともと外務省の人と付き合いがあって、2006〜7年頃、海外でアニメを中心とした日本イベントが盛んになり始め、
「これは外交に活かせるのか…?」
と考えた外務省の人に「日本のアニメや音楽が海外でどう評価されているか」についての外交官研修を頼まれたのだという。
そこでレクチャーしたところ、「この話をそのままヨーロッパで話してほしい」と頼まれたのが現在の活動のきっかけなのだそうだ(最初に訪れた国はイタリア)。
実際に海外へ行ってみると、
櫻井「僕らが思っている以上に、世界の若者は日本のアニメで育っていた」
サウジアラビアでは『鋼の錬金術師』という言葉を口にしただけで歓声があがった、という。
何故アニメか?
櫻井「アニメの中には日本の現代がそのまま描かれているからです」
例えば学園モノのアニメならば弁当が登場する。その弁当がディテール細かく描かれているために、海外の人にも日本風の弁当が流行することになった。(世界に日本のBENTO文化が広がっている、いろんな形で・・・。 - NAVER まとめ
そして、ファッション。
アニメの登場人物たちが着ている服の多くが実際に日本で売られているものだということを、インターネットなどで海外の人たちも知ってしまった。
そこから日本への憧れ、日本に行ってみたいという気持ちが生まれてくる。
また、アニメは絵なので、海外の人から見れば、実際に日本人の俳優が演じるよりも距離感が近いのだということも指摘していた。


そして海外の人が興味を持っている日本のアイドルについて。
アイドルとは日本にしかないもの、と櫻井氏は言う。
櫻井「似たようなものはあるが、正確にはアイドルという文化は日本にしかない」
ステージではプロフェッショナルだが、ブログなどでは私生活を見せてくれる。これはK-POPや欧米のアーティストにはない。
そういうステージとのギャップ、ファンを大事にする心に世界の人たちは興味を持っている。
実際に海外で日本のアイドルがいかに人気かについて、Berryz工房のタイ・バンコク公演の模様と熱狂的なタイのファンの様子を映像で紹介。
以前、モーニング娘。がタイに行った時、タイのファンが涙ながらに、
「やっと日本が来てくれた…」
と言った言葉が忘れられない、と語る櫻井氏。
櫻井「今やアイドルは“日本”を背負ってるんです。こういうことを日本の産業界・経済界はもっと知るべきです」


COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜「ダンス」』(6/2 NHK-BS1

司会は鴻上尚史氏。
かつて里田まい殿とラジオ(『鴻上尚史と里田まいのサンデー・オトナラボ』)をやっていたこともあるので、ハロプロ系には好意的なはず。
筧利夫(TV・舞台で共演多数)、大高洋夫『すこし離れて、そこに居て』)、長野里美『世界のどこにでもある場所2』)、筒井真理子『みんな!エスパーだよ!』)…。
第三舞台の人はアップフロント勢とは相性がいいという印象。
ただ、「出演:モーニング娘。アップアップガールズ(仮)」という事前情報であったが、娘。はMVが使われただけで、アプガがたくさん出演。
でも本当の主役は、アプガの振付師:竹中夏海先生。


オーストラリア人英語教師で、日本のアイドル好きのジニー殿が訪ねたのが、竹中先生。
ちょうどスタジオでアプガに新曲『ナチュラルボーン・アイドル』の振りをつけているところ。
ということは『横浜BLITZ大決戦(仮)』の前か。


竹中先生が語る、「アイドル歌振りの特徴」
(1)歌詞と連動したダンス
これは著書『IDOL DANCE!!』でも力説していたように、歌詞と振付がリンクするというもの。
例えば恋愛ソングだと、女のコの気持ちを表すために、ハートマークを手で作ったり、宙に描いたりする。
竹中「描くのが私の趣味なので…(笑)」
と、例としてアプガの『バレバレI LOVE YOU』の、
「♪メールの絵文字は 女のコの キモチ キモチ 隠してあるから…」
のところで、♡を宙に描く関根梓殿の映像。
そして、歌詞には書かれていない部分。
竹中「私は“歌詞の向こう側”と呼んでるんですが、歌詞の中から私の妄想で世界を拡げて振りをのせている感じです(笑)」
先生の妄想については、『六本木決戦(仮)』DVDの特典映像についている『Beautiful Days!』の振付場面で思う存分堪能出来ますのだ。


アプガメンバーの話。
佐藤綾乃「竹中先生がつけてくれるダンスって歌にマッチしていて。その歌詞がそのまま物語」
古川小夏「ストーリー性のあるダンスが多いので、悲しい曲とかは悲しい動きにしてくれるので、気持ちが込めやすいですね」

という先生の指摘通り、リーダー(仮)、最上級にテキトーな相槌をうっておりまする(笑)


なおこの番組、英語の字幕付きなので、竹中先生がレッスン中に、
「みーこちゃんと咲樹ちゃんが…」
と言うと、
「Miko and Saki…」
なんて字幕が出て来る。
で、レッスンしている曲が『ナチュラルボーン・アイドル』なので「小悪魔のテクニックを盗む」みたいな話をするので、
「“小悪魔”って英語でなんて言うんだ?」
…と思っていると、字幕に「imp」とあった。
へー。
「little devil」とかじゃないんだな(「little devil」だと「子供、餓鬼」という意味になるんだそうだ)。


(2)覚えやすいダンス
アイドルだけでなく、お客さんも含めて完成する。
例として『UPPER ROCK』
一度見て真似出来るような手だけの振付を入れておくと、ダンスの苦手な客でも盛り上がりやすい。
そこからアイドルとファンの一体感が生まれる。
竹中「アイドルがステージで踊っていて、客席でお客さんが踊っているて、それを含めて観た時は、これがやりたかったんだ!と思いました」


また、番組では昨今の『踊ってみた』ブームにも触れ、お待たせしました、ここでモーニング娘。『ブレインストーミング』ダンスショットバージョンのMVを紹介。
“踊ってみたい”人たちが増えたので、メンバー全員のダンスがわかるダンスショットバージョンのMVの需要が多くなってきた、ということの解説。



(3)ダンスのフォーメーション
自宅でメンバー一人一人の動きを考える竹中先生の映像。
竹中「振付の中で、フォーメーションを考える時間が半分くらいかかりますね」
『チョッパー☆チョッパー』の映像。
メンバーそれぞれにファンが居るので、全員に見せ場を作らねばならない、という話。
曲のフレーズごとに細かく書かれたフォーメーション図。
アプガメンバーもフォーメーションを図で確認しながらレッスンに励む様子。
ジニー「覚えるのたいへん?」
アプガ「たいへんです!(笑)」



取材を終えて、
「ダンスというより歌詞に合った演劇みたい」
と語るジニー殿。
スタジオではこのVTRに各国代表外国人の皆さんが「あーだこーだ」と討論。
「あれは歌に合わせた飾りみたいなもので、ダンスのためのダンスじゃない」
という否定的意見もあったものの(それがなんでいけないのか筆者にはよくわからないのだが)、
「歌詞と連動しているのはなるほどと思った」
「“カワイイ”という日本の文化をダンスに取り入れている」
「エンターテインメント・ビジネスが進化している」
と、概ね好評。
興味深かったのは、ロシア人の男性の話。
「あれは音楽の邪魔になる。ロシアなら踊りはバックダンサーがするから、歌手は歌に専念する。これはつまらない」
と、最も否定的な意見。
日本だと「唄って踊れる」というのは褒め言葉なわけであるが、ロシアじゃそんなことはないのかな?


でも、前述の櫻井氏が以前言っていたのは、今いちばん日本のアイドルを呼びたがってる国ってロシアらしいんだよなぁ…(笑)



アルファベットやハングルと違い、漢字は文字そのものに意味があるのが特徴である。
そのことに感心する外国人もあれば、まったく理解出来ない外国人もいる。
それと同じように、歌とダンスが連動しているということに感動する外国人もあれば、まったく理解出来ない外国人もいるのだ、ということであろう。